ショッピングアプリLolliは、アリババ「独身の日」のセールでのアメリカ在住の購入者にビットコインで報酬を還元すると11月11日、CoinDeskは報じた。
アリババグループは、Lolliのアレックス・アデルマン(Alex Adelman)CEOがアピールした「提携」を否定している。この行き違いは、ブロックチェーン業界における、よくある誤解を明らかにした。
行き違い
「Alibaba.comの請負業者の1つが、Lolliのアフィリエイト・マーケティングブログラムを仲介する協力会社を使った。これはAlibaba.comが関与しないところで行われた」とアリババの広報担当者はCoinDeskに語った。
「Alibaba.comの請負業者はLolliと提携していた協力会社との関係を解消している。その結果としてLolliはもはや、Alibaba.comをプロモートしたり、トラフィックを誘導すべきではない」
同氏はLolliは「Alibaba.comとの提携、あるいはアリババグループの一員であることをほのめかす権利を持ったことは決してない」と付け加えた。これに対応して、アデルマン氏は「誰かのサイトに売上を送るためにはインテグレーションが必要」と述べた。
独身の日のプロモーションがどれほど誇張されていたとしても、アデルマン氏のチームが完全に間違っていたわけではない。
CoinDeskが確認した契約書類では、オンラインで「アリババに関連したキーワード」を使うことは認められていた。Lolliはすでに2019年5月から、アリババの海外向け通販サイト「アリエクスプレス(AliExpress)」の購入者向けにビットコインでの還元を行っている。
Lolliのコミュニケーション責任者オーブリー・ストロベル(Aubrey Strobel)氏によると、Alibaba.com自体、独身の日のためにLolliのサービスを試し、その後、パブリシティによってトライアルへの注目が集まったため、「提携」を取り消した。
その後、アリババは直接ビットコインを受け付けているとの誤った報道もあった。CoinDeskが15日に伝えたとおり、中国の規制当局は仮想通貨取引に関連するサービスについての新たな規制を準備しているようだ。
「アリババの担当者に誤解があったようで、それは残念なことだが、我々は将来、Alibaba.comと再び仕事ができる可能性を探っている」とストロベル氏は声明で述べた。
「しばらくの間、アリババグループのアリエクスプレスではLolliは有効に機能する」
異なる主張の原因は?
現状では、相反する主張の根本的な原因ははっきりしない。
ブロックチェーン企業は、ブランドと間接的なアフィリエイト契約を結んだだけの時、あるいは概念実証を行うだけの時でも、しばしば「提携」という言葉を使う。
一方で両当事者間の事務処理はすでに終了しており、購入者への支払いはこの問題が明らかになる前に処理されている。
今回の件はまた、eコマースと仮想通貨がかかわるところで「提携」が本当に意味するものを定義する難しさも浮き彫りにした。
Lolliは、顧客のフラッグシップブランドによる最大のイベント「独身の日」を通して、クライアントとの関係を拡大するものと考えていたが、アリババグループは、第三者が仲介する非公開な「取引上」の契約と考えていたとアリババの広報担当者は語った。アリババから見ると、これは正式な提携ではなかった。
広報担当者は、アリエクスプレスの報酬が処理されたにもかかわらず、Lolliとアリババグループの間には直接の関係はないと主張した。またアリババグループはいかなるビットコイン関連企業とも仕事をしていないと付け加えた。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Alibaba building image via Shutterstock
原文:Alibaba Denies ‘Partnership’ With Lolli, Highlighting Crypto Industry Pitfalls