ビットコインはさらに下落する可能性が高いが、次の強気相場の種が蒔かれつつある
- 広範な暗号資産（仮想通貨）市場で投機バブルが崩壊し、ビットコイン（BTC）は現在、狂ったような売りに屈している。
- 多くのビットコイン強気派は、少なくとも短期的には弱気に転じている。
- 伝統的市場もつまずきつつあり、その結果として生じる金利の低下がビットコインの次の強気相場をお膳立てする可能性がある。
「お前がいなければ、こんな状況にはならなかった。お前のせいで、こんな苦境に立たされているんだ」。マーティン・スコセッシ監督の『カジノ』で、ロバート・デ・ニーロ演じるエース・ロススティーンが、ジョー·ペシ演じるニッキー・サントロに語ったセリフである。
ビットコイナーは、ビットコインの価格をわずか5週間前の10万9000ドルを超える史上最高値から、2月25日には8万7000ドルという安値まで20％以上下げた弱気の動きについて、他の暗号資産を非難しても許されるだろう。
トランプ陣営が次期大統領とファーストレディにちなんだトークンをローンチすることを名案と考え、ミームコインが投機的な熱狂に包まれる中、ビットコインは大統領就任式の前日に史上最高値を更新した。トランプ大統領関連のミームトークンは当初急上昇したが、すぐに暴落し、インサイダーを除くほぼ全員が巨額の損失を被った。
ミームコインの多くが作成されたソラナブロックチェーンのネイティブトークンであるSOLは、それ以来50％以上下落しており、1月の週末以来、主要暗号資産の中でも最も大きく値下がりしている。
ビットコインの強気派は戦略的ビットコイン準備金を約束されたが、代わりに手に入れたのはミームコインの「TRUMP」と「MELANIA」だった。
バイビットへのハッキングが打撃に
この数週間、ミームコインが壊滅し、それに関連して広範な暗号資産市場が大混乱に陥ったにもかかわらず、ビットコインは史上最高値をそれほど下回らない狭いレンジで推移してきた。
つい96時間前まで、世界最大の暗号資産であるビットコインは上昇傾向にあり、10万ドルの大台に再び到達するかに見えた。
そこに、暗号資産取引所バイビット（Bybit）のハッキングが襲った。
ビットコイナーたちは、このハッキングはビットコインとは無関係で、イーサリアムの技術に内在する弱点を再び露呈させたと指摘したが、それ以来15%値下がりしているイーサリアム（ETH）とその他の暗号資産の低迷はビットコインにも広がった。
強気派が弱気派に転じる
「このサイクルに対する我々の期待は10万8000ドルよりもはるかに高く、すでにピークに達しているはずはないと自分自身に言い聞かせている」と、自称永久強気派のStackHodler氏は25日、Xに投稿。「2025年にはもっと高くなるはずだ。本当のことを言ってしまえば、確かなことは誰にもわからない。短期保有者の実現価格9万2000ドルを割ったばかりだ。200日移動平均線の8万2000ドルあたりまで下落する必要があるかもしれない」と続けた。
「まだ押し目買いには早い。8万ドル台前半への動きがある」と、年末までにビットコインが20万ドルに到達すると予想しているスタンダード・チャータード（Standard Chartered）のジェフ・ケンドリック（Geoff Kendrick）氏は語り、次のように続けた。「押し目買いが魅力的なものになる前に、ETFからの流出が10億ドルになる日（現時点での過去最悪は5億8300万ドル）が来ると思う」。
次の強気の種
暗号資産ほど大きな打撃は受けていないものの、伝統的市場もつまずきを見せている。S&P 500で測ると、先週の米国株はトランプ大統領就任以来最悪の週を経験した。ハイテク株比率の高いナスダックは12月にピークに達し、現在はその水準を5％下回っている。
関税、DOGE（トークンではなく、イーロン・マスク氏率いる政府効率化省）、あるいは以前は非常に元気だったアニマルスピリット（人間の行動を左右する直感や感情のことで、不確実な状況における将来の期待を含む）の冷え込みなど、伝統的市場低迷の言い訳はさまざまあるが、金利市場も反応している。
米10年債利回りは、トランプ大統領就任直前の4.80%から4.32%まで急低下した。また、連邦準備制度理事会（FRB）による緩和政策への期待も急速に高まっている。米国政策金利の市場予測を測るCMEのFedWatchツールによると、5月利下げの可能性はこの1週間で2倍以上の30％、6月までに2回の利下げが行われる可能性は3倍以上の15％となっている。
「米国債利回りの低下は、ビットコインにとって長期的に大きなプラスになる」と、ケンドリック氏は結論づけた。
｜翻訳・編集：山口晶子
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｜原文：Bitcoin Likely to Head Even Lower, but Seeds of Next Bull Move Are Being Sown
