Web3.0の社会受容へ──経済産業省「Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」最終の第3回ワークショップ開催

経済産業省が進める「Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」は、「産業及び社会における課題の解決等に資する公共性の高いユースケーステーマを設定し、各業界もしくは業界横断のWeb3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等の構築に係る実証を支援する」取り組みだ。
2月26日、本事業の最終回となる第3回ワークショップが開催された。採択された6事業者や業界の有識者ら計約60人が参加し、各実証実験の成果報告が行われた。

6事業者は2024年8月の第1回ワークショップを皮切りに、実施計画の報告やブラッシュアップを重ねてきた。同年11月の第2回ワークショップでは中間発表を実施。そして今回、約6か月間の集大成として最終報告の場を迎えた。
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本事業で採択された実証事業のテーマと事業者は以下のとおり。
テーマ | テーマタイトル | 事業者名 |
①-1 | 現物資産や無形資産のデジタル化市場(発行・流通市場)構築(ガイドライン) | 一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会 |
①-2 | 現物資産や無形資産のデジタル化市場(発行・流通市場)構築(実証事業) | 株式会社リーフ・パブリケーションズ |
①-2 | 現物資産や無形資産のデジタル化市場(発行・流通市場)構築(実証事業) | 株式会社NTT Digital |
③ | スポーツ業界における肖像権等の権利管理システム・ルール策定 | 楽天グループ株式会社 |
④ | コンテンツIP保護のためのガイドライン策定 | PwCコンサルティング合同会社 |
⑤ | Web3.0型地方創生・関係人口創出事業のためのガイドライン策定 | 一般社団法人Hiroshima Web3協会 |
ワークショップの冒頭では、経済産業省イノベーション・環境局 イノベーション政策課 フロンティア推進室長の吉田修一郎氏が登壇。Web3の社会実装に向けたユースケースの創出が楽しみであると展望を語るとともに、「ワークショップを通じて構築できたネットワークが本事業の大きな意義となった」と総括した。

その後、3事業者ずつに分かれて15分ずつの成果発表が行われ、会場からは質問やコメントが寄せられた。発表後には、残された課題についてグループディスカッションを通じて意見を交わし、今後の事業展開について各事業者が報告した。

事業者からは、プライバシーやセキュリティの問題に加え、イーサリアム規格の制約といった技術的な課題まで挙げられた。その上で、「市場を盛り上げるために成功しやすい領域での先行事例が必要」との意見や「継続的な事業運営には、貢献度に応じたベネフィットをトークン活用で提供する仕組みが必要」といった展望が示された。


アドバイザリーボード座長を務めた企(くわだて)の黒坂達也氏は、本事業を振り返り、「デジタル公共財とは何か」を考えるきっかけになったはずだと述べた。デジタルの特性については「人間の営みを細かく分解し、可視化する能力が高い点にある」と指摘。Web3やブロックチェーンを課題解決に活用するには、ステークホルダーの効用を最大化できるかが重要な判断基準になると話し、「残された課題を明日からまた検討してほしい」とエールを送った。

6事業者の成果報告書などは、3月中を目処に事務局および経済産業省のWebサイトに掲載の予定。またワークショップ企画運営および広報業務を担当したN.Avenue/CoinDesk Japanは6月に6事業者を集めた振り返りのイベントを予定している。
|文:CoinDesk JAPAN編集部
|写真:多田圭佑
※一部写真を変更して、更新しました。3月4日9時37分。