2月の暗号資産取引高は20%減少──関税の脅威で投資家が動揺
  • 中央集権型取引所の2月の取引高は、前月比21%減の7.2兆ドル(約1065兆6000億円、1ドル148円換算)。
  • CMEの取引高は5カ月ぶりに減少したが、市場シェアは過去最高を記録。
  • 中央集権型取引所の建玉は、11月以来の最低水準に落ち込んだ。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領によるメキシコ、カナダ、その他の国々に対する関税が国際貿易を阻害するとの懸念から、リスクの高い投資を増やそうという投資家の需要が減少したため、暗号資産(仮想通貨)取引高は2月に急減した。

CoinDesk Dataの最新の「Exchange Review」によると、中央集権型取引所(CEX)におけるスポット取引とデリバティブ取引の合計取引高は21%減の7.2兆ドル(約1065兆6000億円)となり、10月以来の最低水準となった。

トランプ政権は11月以降、さまざまな産業で米国に対する不公平な貿易慣行とみなすものへの対応として、中国や欧州連合(EU)を含む貿易相手国に関税を課すと脅している。

中央集権型取引所のなかでは、バイナンス(Binance)が27%の市場シェアで最大のスポット取引プラットフォームとしての地位を維持。これに、Crypto.com(8.1%)、Bybit、(7.4%)が続き、CoinbaseとMEXC Globalがトップ5を占めた。

[CEXの2025年2月時点の月間スポット取引高とデリバティブ取引高(CoinDesk Data)]

デリバティブ取引も大幅減少

デリバティブ取引も大幅に減少し、最大の機関投資家向け暗号資産取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は、5カ月ぶりに取引高が減少。CMEの取引高は20%減の2290億ドル(約33兆9000億円)となり、ビットコイン(BTC)先物取引は20%減の1750億ドル(25兆9000億円)、イーサリアム(ETH)先物は13%減の359億ドル(約5兆3000億円)だった。

取引の減少により、CMEのビットコイン先物の年率換算ベースは2023年3月以来の最低水準となる4.08%まで低下した。それでも、デリバティブ取引所におけるCMEの市場シェアは過去最高の4.67%に拡大した。

この増加は、ロビンフッド(Robinhood)が2月の暗号資産取引高が29%減少したと最近報告したように、個人投資家の取引活動が衰えている一方で、機関投資家のこの業界への関心が維持されていることを示唆している。

中央集権型取引所の全取引ペアの建玉総額は、30%減の788億ドル(約11兆7000億円)で、11月5日以来の最低水準になったとレポートは指摘。これは、最近の下落時に大規模な清算が発生したことを反映している。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Mitchell Orr/Unsplash
|原文:Crypto Trading Volumes Dropped 20% in February as Tariffs Threats Fazed Investors