ロシア、原油取引での制裁回避に暗号資産を使用:ロイター

- ロシアの石油会社は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)を使用して、中国人民元やインドルピーをルーブルに換金していると報じられた。
- ロシアの1920億ドル(約28兆5800億円、1ドル149円換算)にのぼる原油取引のうち、暗号資産(仮想通貨)による取引は小さいながらも増加傾向にある。
- UAEディルハムのような伝統的な通貨が依然として主要な支払い手段となっている。
ロシアは中国やインドとの原油取引を円滑に行うために暗号資産を活用し、1920億ドルにのぼる原油取引において西側諸国の制裁を事実上回避していると、関係者筋の話としてロイターが報じた。
ロシアは徐々に、暗号資産への関与を深めている。先週、ロシア銀行(中央銀行)は3年間の実験的法制度(ELR)を創設し、「ロシア人の限られた投資家グループ」に暗号資産の取引を認めるという提案を提出した。
同国の石油会社の中には、ビットコイン、イーサリアム、あるいはテザーのようなステーブルコインを使用して、中国人民元やインドルピーでの支払いをルーブルに換金しているところもあるとロイターは報じた。だが、こうした取引は現在、同国の原油取引のごく一部に過ぎない。
イランやベネズエラなど、他の制裁対象国は、世界の石油市場で支配的な通貨である米ドルへの依存を避けながら取引を行うために暗号資産を活用している。
ロシアは制裁を回避するために複数の決済システムを開発しており、暗号資産はそのうちの1つ。ロシアの原油取引では依然として法定通貨が主要な決済手段となっており、ドルの代わりに、アラブ首長国連邦のディルハムなどが使われているとロイターは報じた。
また、仮に制裁が解除されたとしても、ロシアは便利で柔軟なツールとして暗号資産を原油取引に利用し続ける可能性が高いという。一方でロシアは現在、国内大手銀行に対して小売・商業用途向けのデジタルルーブルのサポートを求めている。
ロシア銀行は2021年、ルーブルを裏付けとする中央銀行デジタル通貨(CBDC)を制裁に対抗する手段として使用する可能性があると述べている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN編集部
|編集:橋本祐樹
|画像:日没時に稼働する石油掘削装置(Maria Lupan/Unsplash)
|原文:Russia Turns to Crypto to Bypass Western Sanctions in Oil Trade: Reuters