関税発動前にビットコインが8万5000ドルに迫る──DOGE、XRP、ADAが主要銘柄の上昇をリード
  • 市場がアメリカの関税やカナダとEUの相互協定の影響を予測する中、ビットコインは8万4000ドル以上まで上昇している。
  • 市場全体に広がるリスク回避ムードにもかかわらず、ドージコインとカルダノは2.5%以上の値上がりを見せた。一方、ビットコインは11%の損失で第1四半期を終えた。
  • ビットコインを長期保有している投資家や、新たに参入した大口投資家はポジションを維持して価格の維持に貢献するなど、回復力も見られる。

4月1日の欧州取引時間帯で、ビットコイン(BTC)は8万5000ドルに近づいた。多くのトレーダーは、2日に発動が予定されているアメリカの関税の影響を待っている。

ドージコイン(DOGE)とカルダノ(ADA)は7%以上上昇し、主要暗号資産(仮想通貨)の小幅な上昇を主導した。イーサリアム(ETH)、エックス・アール・ピー(XRP)、ソラナ(SOL)、バイナンスコイン(BNB)も5%近く上昇した。

CoinGeckoのデータによると、市場全体の時価総額は3%減少した。幅広いコインを対象とするCoinDesk 20指数(CD20)は、過去24時間で3%下落した。

この動きは、市場の広範なリスク回避ムードの中で起こったもので、米国株は低迷しており、S&P 500は先週3%下落し、2023年9月以来の最悪の状況となっている。また、安全資産であるゴールド(金)への急激な資金流入により、1日早朝には金相場が新たな高値を記録した。

迫り来る関税と、過去1カ月間のアメリカの経済および労働関連の報告が相次いで発表されたことが相まって、暗号資産に対するセンチメントに影を落としている。シグナルプラス(SignalPlus)のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏は、ETF(上場投資信託)への大きな資金流入がないなど、新たな触媒の欠如し、市場が確信度の低い状態から抜け出せていないと指摘した。

ビットコインは11%下落し、S&P 500は2022年第2四半期以来最大の落ち込みとなり、波乱に満ちた四半期を締めくくった。

https://x.com/Barchart/status/1906821431352029565

先物市場では、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)を通じたビットコインの投機的ポジションはここ数年で最も弱気であり、1月の強気相場から急激に転換したとファン氏は述べた。

「ポジショニングデータは単に市場状況を述べたものであり、必ずしも取引可能な状況を示すシグナルではないことを念頭に置いてほしい」とファン氏は述べた。「持続的な上昇のきっかけは、現時点では依然として見えにくい。しかし、現時点での空売りポジションの増加を考慮すると、上昇局面では急激な上昇が予想される」。

しかし、長期保有者の間では回復の兆しが見られる。Glassnodeのデータによると、3~6カ月のポジションを持つ保有者は、2021年6月以来の最低水準で取引し、利益を拡大している。これは、パニック売りに対する確信の表れだ。

また、Glassnodeによると、ここ数カ月の間にポジションを取った新規の大口投資家も、現金化せずにしっかりと保有しており、ビットコインの価格を下支えしている。

https://x.com/glassnode/status/1906713577471234255

一方、ハッシュキー・キャピタル(HashKey Capital)のLiquid Fund and Researchのパートナーであるジュピター・ジェン(Jupiter Zheng)氏は、関税の先行き不透明感と経済データの急落を短期的な逆風と見ていると述べた。

「今回の下落はリスク回避のセンチメントによるものだ」と、ジェン氏はテレグラムのメッセージでCoinDeskに語った。「世界中の規制当局が暗号資産の普及を促進する新たな政策を打ち出す中、より多くの機関投資家が仮想通貨を採用しているため、長期的には依然として楽観視している」。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Nears $85K Before Tariffs Kick-In; DOGE, XRP, ADA Lead Crypto Majors