リブラに追い風か──スイス、ブロックチェーン開発の法的なハードルを撤廃へ

スイス連邦政府は、ブロックチェーンと分散型台帳技術(DLT)によるイノベーションをいまだに阻んでいる法的なハードルを取り除くことを目的とした修正計画を連邦議会に提出する。

11月27日の会議で、内閣に相当する行政機関「連邦参事会(Federal Council)」は、この初期段階にあるテクノロジーに関する法的フレームワークを改善する提案を採択した。

スイス連邦財務省からの通知によると、この動きは「法的な確実性の向上、分散型台帳技術(DLT)を使ったアプリケーションへの障壁の撤廃、および不正使用のリスクの低減」を目的としている。

通知によると、これは「包括的なフレームワーク」として提案されたもので、民法と金融市場法の中の9つの連邦法の改正を求めている。

リブラ協会もスイスに

スイスはすでに仮想通貨とブロックチェーンに積極的な国として知られており、ツーク(Zug)地域には業界の多数の企業が集まってきている。フェイスブック(Facebook)もまた、スイスにリブラ協会(Libra Association)を設立することを選択した。

2018年、連邦参事会は仮想通貨とブロックチェーンを主に既存の金融法のもとで規制するとしたレポートを発表したが、仮想通貨トークンの法的な確実性を高めるために、証券法の改正も提案した。

同年、スイスの金融市場監督局(FINMA)は、ブロックチェーン企業と仮想通貨企業に適用可能な「緩和された」要件を備えた新しいフィンテック・ライセンスを導入した。

27日の発表の中で連邦参事会は、2018年のレポートは、スイスの既存の法的フレームワークは分散型台帳技術(DLT)のような新技術に「よく適している」ことを示したと記した。だが、いくつかの分野で改善の余地があることも示した。

こうした問題に対処するため、連邦参事会は3月の審議に向けて、既存の法律の多数の改正案を公開。約80件のレスポンスを受けて、改正案はさらに修正され、参事会で採択された。

この改正案は2020年はじめにスイス連邦議会で審議される予定だ。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸
写真:Swiss parliament image via Shutterstock
原文:Swiss Government Moves to Remove Legal Barriers for Blockchain Development