見解
- 遅行指標であるビットコインの月足MACDヒストグラムは、5月以来初めて弱気になった。
- MACDの弱気への転換の確かさを立証するには、最近の安値6511ドル(約71万円)割れが必要である。価格が12月4日(協定世界時)の安値7087ドル(約77万円)未満で受け入れられた場合には、その水準が意味を持ってくるだろう。
- 11月29日(協定世界時)の高値7087ドル(約77万円)を超えて、取引終了となった場合には、短期的な強気見通しが復活するかもしれない。
幅広く参考にされている長期的なビットコインチャートの指標が、5月以来初めて弱気に転換した。
傾向の変化を見極め、傾向の強さを測るのに利用される指標、月足MACD(移動平均収束拡散手法)ヒストグラムはゼロを下回り、強気から弱気への価格傾向の転換を示した。
一部の観測筋は、MACDの弱気への転換をビットコインにとって悪い知らせと呼んだ。しかし、この指標は12カ月と26カ月の指数平滑移動平均(EMA)に基づいており、価格に遅れる傾向がある。
そのため、最新の弱気のクロスには限られた予測力しかなく、6月の高値13880ドル(約151万円)から11月の安値6500ドル(約71万円)への下落に象徴される支配的な弱気傾向の確認、または結果という方が近いだろう。
「ミスター・アンダーソン(Mr. Anderson)」(@TrueCrypto28)の名で人気のツイッターアナリストはCoinDeskに対して、月足MACDは遅行指標であるため、トレーダーはより短いタイムフレームに焦点を当てるべきと語った。
「弱気と解釈するとしても、14000ドル台から7000ドル台への下落の後であり、ひどく遅いものです」とミスター・アンダーソンは述べた。「MACDが好きなら、週足はしっかり機能します。日足も役割を果たしてくれます」
一部のアナリストは、月足MACDクロスオーバーは信頼に足りると過去に証明されたと主張するかもしれない。たとえば、ビットコインは2014年と2018年、MACDヒストグラムの弱気クロスオーバーの後に、急激に値を下げた。
月足チャート
2018年7月のMACDのゼロ割れの後には、3カ月のレンジ相場と11月の4000ドル(約43万円)未満の水準への急激な下落が続いた。
2014年も同様に、8月の弱気クロスの確認に続いて、ビットコイン価格は5カ月間で490ドル(約5万3000円)から150ドル(約1万6000円)へと下落した。
そうであっても、現在のより広範な市場の状態は、上記の頃とは異なっているので、最新のクロスオーバーは強気筋の士気をくじくものではない。
2014年と2018年には、ビットコイン価格は記録的最高値を記録した後であり、ヒストグラムの弱気への転換を受けて、トレーダーは利益を出したり、ビットコインを売却する理由を見つけた可能性が高い。
今回のMACDの転換は、記録的な高値に続くものではない。ビットコインは6月末に(市場最高値の2万ドル(約217万円)からはかなり低い)13880ドル(約151万円)でピークを迎えたのだ。
さらに重要なことに、ここ5カ月で見られた52%の値下がりは、4月初旬の4000ドル(約43万円)付近の安値からの上昇傾向における調整的動きとして、幅広く捉えられている。さらに、テクニカル分析のチャートには、売り手の疲弊を示すサインがある。
3日足チャート
ビットコインは、11月26日(協定世界時)までの3日間で典型的なヒゲの長いハンマーロウソクを示し、6カ月の安値付近での弱気な疲弊を示唆した。ビットコインはその後の3日間で強力な強気のフォロースルーを見せ、強気への反転を裏付けた。
しかし短期的な強気の流れは、12月4日の7800ドル(約85万円)での強力な拒絶によって弱まった。それでも価格は6511ドル(約70万円)超えを維持しており、売り手の疲弊のサインはいまだに妥当であることを意味する。
月足MACDの弱気な読みは、価格が6511ドル未満(約70万円)で受け入れられた場合にのみ、信頼を増すだろう。
日足チャート
低めの高値という設定を無効にし、短期的な強気を回復させるには、11月29日(協定世界時)の高値7870ドルを超えて取引を終えることが必要だ。強気で大引けを迎え、それが確認されれば、8500ドル(約92万円)への扉が開くこととなるだろう。
下落方向で言えば、7087ドルが重要な支持線となる。その水準を割り込めば、12月4日の弱気逆ハンマーの正しさを示し、最近の6500ドル付近の安値への下落につながるより強い売り圧力を招く可能性がある。
※筆者は記事執筆時点で仮想通貨を保有していない。
翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:Key Bitcoin Price Indicator Turns Bearish, But It May Not Be Bad News