デジタル人民元、深セン市と蘇州市で年末にテスト開始か:報道

中国の中央銀行「中国人民銀行」は少なくとも2つの大都市でデジタル通貨の先行テストを行う準備を進めているようだ。

深セン市と蘇州市で実施か

12月9日(現地時間)、中国の金融メディア「財経」が伝えたところによると、中国人民銀行は深セン市と蘇州市でデジタル人民元のテストを開始する「見込み」だ。他の都市でも地域でもテストが行われる可能性がある。

先行テストには国営パートナーが参加する可能性が高い。中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行の「4大」商業銀行と、中国電信、中国移動通信、中国聯合通信の3社の通信事業者だ。

先行テストでは、デジタル通貨電子決済(DCEP)と呼ばれるデジタル通貨が、交通、教育、医療などの実際の利用シーンで使われると財経は報じた。パートナーの銀行は、DCEPのテストのために独自の利用シーンを設計できる。

第1段階は2019年末に開始予定

報道によると、2段階のテストの第1段階はより小規模で、2019年の年末に開始される。2020年後半に行われる第2段階は深セン市で行われる、より大規模な取り組みとなる。すべてがうまく行けば、DCEPの完全なローンチはテストのすぐ後に見込まれている。

中国人民銀行は、フェイスブック(Facebook)主導のリブラ(Libra)が6月に発表されたことを一因として、DCEPの開発を加速させている。他の選択肢も検討されているかもしれないが、リブラはおそらく、法定通貨と国債のバスケットに裏付けられたステーブルコインとなる可能性が高い。

財経によると、DCEPの技術的な詳細は公開されていないが、リブラといくつか類似点があるようだ。財経の記事は、中国人民銀行関係者の発言を引用し、デジタル人民元は(銀行用語でM0と呼ばれる)流通中の通貨に代わるものとして設計され、「携帯性と匿名性のニーズ」を満たすと伝えた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:China’s Central Bank Likely to Pilot Digital Currency in Cities of Shenzhen and Suzhou: Report