「自動化された投資銀行」を目指すトークンソフト、SECにトランスファー・エージェント登録

仮想通貨スタートアップのトークンソフト(TokenSoft)は、トークン化時代のための投資銀行を構築しようとするなか、規制上の重要な承認を手にした。

公開済みの申請書類によると、トークンソフトの新しい子会社DTAC LLCは、米証券取引委員会(SEC)に「トランスファー・エージェント(名義書換代理人)」として登録された。

トランスファー・エージェントは、株式取引の参加者のための仲介者として機能する。株式名義書換サービス、帳簿記入、注文の審査、議決権の代理行使、配当の支払い、そして規制上および税務上の義務を満たすための報告書の提供などを行う。

トランスファー・エージェントはまた、仮想通貨ウォレットを紛失した顧客の支援といった、あまり一般的ではないサービスも提供可能だ。

「我々は両方を取り扱う発行者にサービスを提供するので、(これは)必要であると同時に求められていたことだった」とトークンソフトのメーソン・ボルダ(Mason Borda)CEOは述べた。

トークンソフトは、米商品先物取引委員会(CFTC)の元顧問ジェフ・バンドマン(Jeff Bandoman)氏が運営するブロックエージェント(BlockAgent)をはじめとする仮想通貨スタートアップ、セキュリティートークンスタートアップのハーバー(Harbor)、そして技術プロバイダーのセキュリタイズ(Securitize)などに協力する、アメリカでますます増加しつつあるトランスファー・エージェントの1社となる。

だがボルダ氏は同社の技術は他社とは一線を画していると述べた。なぜなら秘密鍵がオフラインで保管されている、いわゆるコールドストレージでトークン化された証券を管理できるのは同社だけかもしれないからだ。

「DTACは、弊社のノックス(Knos)ウォレットを利用してトークンを発行する」とボルダ氏は述べた。

「ブロックチェーン上で証券を安全に発行、管理できる唯一のトランスファー・エージェントとなる」

長期的にボルダ氏は、トークンソフトとDTACによって、ウォールストリートの引受人の21世紀バージョンを築いていくことを望んでいる。

「我々は、自動化された投資銀行に必要なものすべてを開発している」とボルダ氏。

「DTACは、ブロックチェーン上で株式を管理することで、企業がIPO(新規株式公開)をすぐに行えるよう支援できる。必要なものはすべて揃っている」

SECのもと証券市場を監視する自主規制団体、米金融取引業規制機構(FINRA)によると、トークンソフトはすでに、認可済みのブローカー・ディーラーの株式を所有している。

FINRAによるとトークンソフトは、証券の私募に関する多くのサービスを提供する認可を受けている。

2018年から、法律に遵守したトークンセールス向けの技術・顧問サービスを提供しているトークンソフトは、既存の金融サービスインフラを、支払い手続きにロックチェーン・ツールを利用するなどの単一のサービスへと集約する計画だ。

「DTACによって、我々はより効率的なバックオフィス・サービスを提供することができる」とボルダ氏は語った。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Mason Borda image via CoinDesk archives
原文:TokenSoft Registers an SEC Transfer Agent to Build ‘Automated Investment Bank’