2019年の日本企業M&A件数が過去最多、SBグループ目立つ──レコフ調べ【合併・買収】

2019年の日本企業が関わった企業の合併・買収(M&A)の件数が4088件(前年比6.2%増)と、3年連続で過去最多を更新したことが、M&A助言会社レコフのまとめで分かった。技術革新が進むフィンテック分野に大手企業やファンドが注目していることもあってか、ベンチャー企業を対象にしたM&Aが1375件で全体の3割を占めた。ただ金額ベースでは18兆295億円と前年から38.5%減少した。

レコフは2020年の見通しとして、海外に成長を求めるM&Aが引き続き活発としているほか、IoT、AIなど技術革新にともなうベンチャー投資、事業承継案件などが多いと見ている。

目立ったのはソフトバンクグループ

レコフ
レコフリリースより

国内企業による海外企業のM&A(IN-OUT)、国内企業同士(IN-IN)、海外企業による国内企業のM&A(OUT-IN)の分類では、IN-OUTは826件と前年比6.3%増だったが、金額では10兆3763億円(43.5%減)。826件を地域別でみると、アジアが303件、北米258件、欧州195件などとなり、アジアが北米を4年ぶりに超えた。金額上位では、アサヒグループHDによるインベブの豪州事業買収、三菱UFJ銀行などによる独DZバンク子会社からの事業買収など、金融や医薬品分野での大型買収が目立った。

IN-INは3000件(同6.6%増)で金額も6兆1233億円(9.2%増)。3000件のうち999件(約3割)がベンチャー企業へのM&Aだった。金額トップはZホールディングスとLINEの経営統合で、ほかにもヤフーによるZOZO買収も上位となるなど、ソフトバンクグループが目立った。

またOUT-INは262件(同1.2%増)、1兆5298億円(81%減)だった。地域別では北米133件、アジア94件、欧州30件などだった。

このほか、投資ファンドによる日本企業のM&Aは877件で、前年比16.8%増、過去最高だった。また日本での届け出TOBは48件。前年から3件の増えただけだが、金額では3兆4021億円と153%増と大幅に増えた。

M&A金額ランキング 上10件

金額上位20件をみると、IN-OUTが13件と最多。2018年は1件も入らなかったIN-INが5件入った。またソフトバンクグループ関連が6件あった。金額上位10件は次の通り。

順位 当事者1(買収側など)/当事者2(被買収側など)/金額(形態)
1位 アサヒグループホールディングス/CUB Pty Ltdなど123社/1兆2096億円(買収、IN-OUT)
2位 Zホールディングス/LINE/1兆1806億円(合併 株式交換 持株会社、IN-IN)
3位 ソフトバンクグループ/ウィーカンパニー/1兆308億円(出資拡大、IN-OUT)
4位 昭和電工/日立化成/9640億円(買収、IN-IN)
5位 三菱UFJ銀行、東銀リース/DVB Bank SE/7000億円(買収、IN-OUT)

6位 ノバルティス/シャイアー(武田薬品工業)/5837億円(事業譲渡、OUT-IN)
7位 三菱商事、中部電力/エネコ/5000億円(買収、IN-OUT)
8位 ソフトバンク/ヤフー/4564億円(買収、IN-IN)
9位 ヤフー/ZOZO/4009億円(買収、IN-IN)
10位 大日本住友製薬/マイオバント・サイエンシズなど/3340億円(買収、IN-OUT)

文・編集:濱田 優
写真:pockygallery / Shutterstock.com