米仮想通貨取引所クラーケン、M&Aでアジア太平洋へ拡大――豪ビットトレード買収

アメリカに拠点を置く仮想通貨取引所クラーケン(Kraken)は2020年1月14日(現地時間)、オーストラリアでも最も歴史のある仮想通貨取引所の1つ、ビット・トレード(Bit Trade)を買収し、アジア太平洋地域への拡大計画を発表した。

クラーケンは、自社を同地域における一流仮想通貨サービス提供業者と位置付けることを目指しており、オーストラリアを個人および機関投資家向けの重要な成長地域と認識している。今回の買収合意の財務的な条件は公開されていない。

複数の取引所の流動性を1つのインターフェイスに統合するプラットフォームであるビット・トレードの買収は、オーストラリアの顧客がクラーケンの膨大な取引量にアクセスできるようにすることによって、アジア太平洋地域進出の大きな一歩となる。

「オーストラリアの人々は、オーストラリアドルでクラーケンの高い流動性にアクセスを持ちつつ、オーストラリアの銀行を通じた素早い決済や地元オーストラリアの規制順守の枠組みによるセキュリティーの恩恵を受けることができます」と、ビット・トレードのCEO、ジョナサン・ミラー(Jonathon Miller)氏はCoinDeskにメールで語った。

ビット・トレード全社が丸ごとクラーケンに加わり、ミラー氏は買収に伴って「オーストラリアにおけるクラーケンのマネージング・ディレクター」に就任する。

2013年創業のビット・トレードは、セキュリティーや規制順守において妥協することなく、直感的に使えて洗練された商品を提供することで素早く高い評判を築いてきた。

今回の買収は、2019年12月のサークル・トレードの買収に続いて、クラーケンによる5件目の買収となる。

データ提供企業のメッサーリ(Messari)でリサーチアナリストを務めるライアン・ワトキンス(Ryan Watkins)氏は、最近発表された仮想通貨研究報告書の中で、取引高で業界最大手の複数の取引所が、これから24カ月で約10億ドル(約1100億円)の買収に取り組むことを見込んでいると述べた。

「流動性は、流動性をもたらす」とワトキンス氏は記し、次のように続けた。「地元の取引所がより大きなプラットフォームに買収され、取引所業界が集約し続けていくことが見込まれる」

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Kraken image via Shutterstock
原文:Kraken Acquires One of Australia’s Longest-Running Crypto Exchanges