NTTドコモと東京海上日動、三井住友海上……AIが保険を提案、一歩進んだ活用進む【インシュアテック】

保険業界でAIの活用が進んでいる。NTTドコモは、AIが保険商品を提案するサービス「AIほけん」を東京海上日動火災保険と共同で開発、2019年12月からサービスを始めた。三井住友海上火災保険は、代理店で顧客の保険をAIで分析し、保険を提案するサービスを始める。

これまで保険分野でのAI活用は、コールセンターの業務や、保険の引受から支払い履行までの業務(アンダーライティング)などを効率化する狙いのものが多かったが、ここにきて保険の提案をAIにさせるという取り組みが目立つようになっている。

ドコモの回線契約がなくても利用できる

NTTドコモが発表した「AIほけん」は、ドコモの回線契約がなくても利用できる(dアカウントが必要)。dアカウントにひも付いた情報などをAIが分析し、保険選びに迷う利用者をサポートする。

三井住友海上火災保険の取り組みは、AIによるビッグデータ分析を代理店の顧客に対する提案につなげるシステム「MS1 Brain」を開発したというもの。19年11月の発表時点では、20年2月からサービス開始とされていた。顧客の契約内容や契約履歴、事故情報のほか、家族構成の変化などのビッグデータを分析、ニーズやリスクの変化を察知して、補償内容の見直しや新たな保険商品等を最適なタイミングで提案するという。

ブロックチェーンの活用も進む保険業界

AI以外の技術の活用も保険分野では進んでいる。その一つがブロックチェーンの活用だ。

住友生命保険は、TISなどとともに給付金自動請求実現へ向けブロックチェーン技術を活用した実証実験を行うことを発表している。期間は2月12日から3月下旬までで、ブロックチェーンはR3 社の「Corda(コルダ)」を採用。ブロックチェーンを活用することで、生命保険請求の手続きをする際、従来必要だった請求書や診断書などの取り寄せが不要となるため、契約者・受取人と、医療機関・保険会社のやり取りが大幅に簡素化されることが期待されるという。

ブロックチェーンが活用される理由の一つに、スマートコントラクトがある。これは契約をプログラムにしておくことで、ブロックチェーン上で契約を自動的に執行する仕組みだ。保険金の受取人がわざわざ請求する必要がなくなるし、保険会社も支払いに関する業務を効率化できる。

実際の例として、2018年にはあいおいニッセイ同和損保が、ソラミツやCACとともにブロックチェーン技術を活用したスマートコントラクト保険の枠組みを共同開発し、実証実験を実施している。

AIやブロックチェーンの活用例はこのほかにもいくつもある。数年前までは実証実験が多かったが、最近は実際の商品・サービスとして反映されつつある。人口が減り、保険会社も省コスト化が求められる中で、こうした技術の活用はますます進みそうだ。

文・編集:濱田 優
画像:Wright Studio / Shutterstock.com