アメリカのトランプ大統領は2019年、ビットコインなどの仮想通貨はまったく好きではないとツイートした。
仮想通貨嫌いのトランプ大統領
仮想通貨は「お金ではない」、その価値は「きわめて変動が激しく、根拠はなにもない」と2019年7月、大統領はツイートした。
今、アメリカ国外の仮想通貨トレーダーはトランプ大統領についての自分たちの気持ち──そして、おそらくわずかなお金──を表明できる。2020年2月、デジタルトークン「Trump 2020」(ティッカー:TRUMP)が仮想通貨取引所FTXからローンチされた。
この新しいトークンは先物取引のように機能し、トレーダーはロングポジション(トランプ大統領の勝利)あるいはショートポジション(完敗)を取ることができるとFTXは述べた。
「トランプ大統領が2020年の大統領選挙で再戦されればTRUMPは1ドルで満期となり、負ければ0となる」とFTXは同社ウェブサイトに記した。
Oddschecker.comなど複数のオンラインサイトは、大統領選挙の賭けを実施しており、歴史の一部になろうとしている。トランプ大統領は弾劾裁判にかけられた後、選挙に出る初の現職大統領になると予想されている。大統領は民主党優勢の下院が成立させた弾劾条項について、2月5日に共和党優勢の上院により無罪とされた。
FTXの新しいトークンは、大統領選挙の見通しについて二極化する有権者の動向から利益を得ようとする仮想通貨業界の初の試みとなるだろう。
トークンで大統領選挙を予想
理論的にはトークン価格はトランプ大統領再選の予想オッズとほぼ一致するはずだ。
FTXによると「トランプ大統領の再選の可能性が52%だと考えるなら、TRUMPは0.52ドルで取引される」
トークンは2月はじめに発売され、大統領が弾劾裁判で無罪評決を受けた後、現在は62セントで取引されている。つまり、再選確率は62%であることを示している。
FTXのウェブサイトによると、FTXはカリブ海にある国、アンティグア・バーブーダを拠点とする親会社が所有しており、サム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏が率いている。
同氏のリンクドインのプロフィールによると、以前はニューヨークを拠点とする企業でトレーダーを務め、2017円に仮想通貨業界に参入した。同氏は現在、香港を拠点としている。
変動の激しい仮想通貨市場のリスクを警戒するトレーダーに向けて、FTXはTRUMPの最終的な報酬が二面的なものになることを警告している。価格はビットコインよりも激しく変動する可能性がある。
同社ウェブサイトによると「TRUMPのリスクポートフォリオはビットコインとは異なる。(0ドルか1ドルの)より大きな動きとなる可能性がきわめて大きい」。
大統領選挙での不測の事態の可能性に対処するためにTRUMPは、選挙結果が泥沼化し、大統領が辞任を拒否した時のための非常事態プランを用意している。
「投票結果の一部が予測できない場合」や勝者を決定できない場合、「2021年2月1日時点でドナルド・トランプ氏がまだ大統領の座にあればTRUMPは1ドルで決済され、その他の場合は0ドルとなる」
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:New ‘TRUMP’ Token Giving 62% Odds of US President’s Reelection