国家戦略としてブロックチェーン活用によるビジネス利益に照準:豪政府

オーストラリア政府は、2020年2月7日(現地時間)に公表された改訂版国家ロードマップにおいて、ブロックチェーン技術を通じたイノベーション促進計画を発表した。

産業・科学・エネルギー資源省は、ビジネス関連のブロックチェーンアクティビティを通じて生み出される潜在的価値を捉えることを狙いとした新しい国家戦略を考案した。特に、グローバルサプライチェーン管理システムと追跡の支援に焦点が当てられた。

52ページに及ぶロードマップは、次の3つの主要分野に重点を置いている。「規制と標準」、「スキル、能力、イノベーション」、そして「国際的投資と協働」だ。

今回のロードマップは、用語、ガバナンス、アイデンティティに関連したブロックチェーン標準を優先事項とすることを意図した、2019年3月のブロックチェーン基本方針を改訂したものである。

金融、エネルギー、製造業などの多くの業界を超えて著しいコスト削減をブロックチェーン技術が約束することから、分散型ピアツーピアソリューションとしてのブロックチェーンへのオーストラリアの関心と投資は、勢いを増してきている。

新しいロードマップに引用されている研究諮問企業ガートナー(Gartner)は、ブロックチェーンが国際的に2025年までには1750億米ドル(約19兆円)強、2030年までには3兆米ドル(約330兆円)強の年間事業価値を生み出すと予測している。

シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)が2020年2月7日(現地時間)に報じたところによると、カレン・アンドリュース(Karen Andrews)産業・科学・エネルギー資源大臣は、グローバルサプライチェーンでオーストラリアの生産者がモノやサービスを追跡することを助ける能力によって、輸出の機会を強化するブロックチェーンの潜在性は「エキサイティング」であると述べた。

金融業界における焦点は、顧客確認手続きの一環としての身元確認であり、教育業界では「信頼できる素質と、個人のスキルと能力に関する信頼に足る情報を促進する」ことを新しいロードマップは狙っている。

同ロードマップは、業界の専門家、大学、政府の代表者からなる諮問委員会によって、産官学共同で考案された。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
原文:Australian Government Eyes Business Benefits in New National Blockchain Roadmap