中国は中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発に向け大きく前進している。中国人民銀行は先週、80を超える特許を申請した。
フィナンシャル・タイムズによると、2020年2月13日(現地時間)に提出された84件の特許申請には、中央銀行デジタル通貨(CBDC)と供給と発行、デジタル人民元を使った銀行間決済、デジタル通貨ウォレットの既存の銀行口座への統合などが含まれていた。
中国政府は依然としてそのデジタル通貨電子決済(DCEP)構想、いわゆるデジタル人民元についてはほぼ沈黙しているが、今回の新たな特許申請は、アメリカやEU(欧州連合)などの主要経済圏に打ち勝つことを目指して、DCEPシステムの開発を強化している同国の取り組みを表している。
だが、こうした進展が長期的に仮想通貨に影響を与える可能性は小さい。なぜならデジタル人民元の発行は厳しくコントロールされ、企業や個人によるマイニングや既存の仮想通貨との取引は行われないためとイートロ(eToro)のアナリスト、ネモ・キン(Nemo Qin)氏は語った。
「ほとんどの仮想通貨と異なり、DCEPは中央集権化された、政府発行のデジタル通貨となる。(中略)こうした要因により、DCEPは仮想通貨市場に直接的な影響を与えることはないはず」
ビットコインの価格は2019年10月、中国の習近平国家主席が中国はブロックチェーン技術がもたらす「チャンスをつかむ」べきと発言した後に7435ドル(約82万円)から1万350ドル(約114万円)へと40%以上も高騰した。
市場がこのニュースと中国の動きの背後にある意図を理解し始めるとともに、ビットコイン価格は37%以上も下落し、2020年1月に回復した。
事実、中国の野心はより多くのプレーヤーがこの分野に参入することを促した。国際決済銀行(BIS:Bank for International Settlements)は相互運用性を備えたCBDCの可能性を検討するためのグループを設立した。
「我々はより多くの中央銀行がブロックチェーン技術を使った独自デジタル通貨の開発を発表すると予想している」とキン氏は付け加えた。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
原文:China’s DCEP Unlikely to Impact Crypto Markets in the Long-term, eToro Analyst Says