ニューヨーク州金融サービス局(New York’s Department of Financial Services:NYDFS)は、州が承認した仮想通貨企業に対して、詳細なコロナウイルス対応計画を提出するよう要求しており、COVID-19が一般の人々の健康だけではなく、企業にも及ぼす驚異の深刻さが示されている。
2020年3月10日(現地時間)に送られた通達によれば、「暗号通貨」企業は、綿密で仔細な具体案を伴った、緊急時対応策を提出しなければならない。そして「最低」でも、従業員の保護戦略、サイバーリスク緩和のための方策強化、災害時の通信計画に、重要な業務の機能継続を確保するための方法が含まれなければならない。さらに、雪だるま式に広がる流行という万一の事態に備えた、逐一の計画も立てる必要がある。
同局は、ハッカーがウイルスの流行につけ込む可能性に特に懸念を示した。同局は、気付かれていないハッキングのリスクを「強調」し、「違法な取引や引き出し行為」を検知することのできる、より堅固なセキュリティ対策を実行することを検討するよう企業に要請している。
同局はさらに、在宅勤務者が「コールド」(オフライン)の保管場所から「ホット」(インターネットに接続された)ウォレットへと資金を移動させる際に、カストディされた資産を危険にさらす可能性も強調した。
通達によれば、企業はこれから30日以内に計画を提出する必要があるが、「可能な限り早く」が望ましい。同局広報担当者は、今回の要請がすべてのビットライセンス(BitLicense)保有者に適用されるかについての質問に対して、直ちには回答していない。
コロナは「優に6カ月に及ぶ危機」
今回の要請からは、刻一刻とより重層化する危機に対するニューヨークの危機対応を垣間見ることができる。同局による3月10日の通達時点では、ニューヨーク州はコロナウイルスを原因とする緊急事態宣言がなされてから何日も経っていた。しかし、州全体、そしてニューヨークの仮想通貨企業の大半が拠点を置くニューヨーク市の企業はまだ、コロナ流行への対応をどうすればいいか二の足を踏んでいた。
しかし、3月12日までにはダイナミクスが変化したようだ。アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)知事は集会の禁止を宣言し、ニューヨーク市のビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長は、ほぼ立て続けの記者会見において、市全体の緊急事態を宣言、コロナウイルスは「優に6カ月に及ぶ危機」となる可能性があると市民に警告した。
今週の世論、政府の見通し、企業の現実の劇的な変化によって、数日前には予防的に見えた計画も、ニューヨーク州の日常生活にとってはるかに重要なものに見えている。
翻訳:山口晶子
編集: T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:New York Regulator Tells Crypto Firms to Develop Coronavirus Contingency Plans