2019年、仮想通貨業界にはビッグディール、すなわち2018年のようなレイターステージのVC投資がなかった。CBインサイツのレポートが明らかにした。
2019年、仮想通貨業界へのVC投資は2018年よりも15件少ない807件、投資高は34%減少し、約42億ドルから約28億ドルとなった。
これは2018年にあったような大規模なレイターステージ投資──ビットメイン(Bitmain)の4億ドルのエクイティファイナンス、コインベース(Coinbase)の3億ドルのシリーズEの資金調達、ハイパーチェーン(Hyperchain)の2億3400万ドルのシリーズBの資金調達──がなかったことによるもの。3月19日に発表されたレポートは記した。
2019年、仮想通貨業界で見られた大規模な資金調達はリップル(Ripple)の2億ドル、フィギュア(Figure)の1億300万ドルのシリーズCの資金調達。それでも2019年は2017年の12億ドルから120%以上の増加となった。
「投資額の減少は業界の健全性を示すとは思わない。(中略)多くの新しい企業が資金を調達している」とCBインサイツのフィンテックアナリスト、アレックス・カーン(Alex Kern)氏は語った。
「より大規模で成熟した企業は戻って来なかった」
業界成熟のサイン
2018年から2019年の投資額の減少は、ベンチャーキャピタル、コーポレートVC、エンジェル投資家、ヘッジファンド、他の投資家の間で起きた。
だがコーポレートVCは投資額の20%を占め、2015年から9%上昇した。
エンジェル投資家は2番目に大きな減少となり、前年対比で13%減少した(最大の減少は「その他の投資家」だった)。
機関投資家はこの業界への投資家としてのポジションをより確立し、一方でエンジェル投資家の地位が「低下している」ことは、業界が成熟しているサインとカーン氏は付け加えた。
過去4年、VC投資はアメリカから中国に移行してもいる。2015年から2019年にかけて、アメリカでのVC投資は20%減少し、中国では20%上昇した。
「その一部は規制によるもの。バイナンスは非常に人気があり、仮想通貨マイニング企業は中国では安価な電力を使える」
エンタープライズ・ブロックチェーン
仮想通貨企業への投資は依然として、エンタープライズ・ブロックチェーンへの投資の数倍にのぼっている。
しかし、企業の「ブロックチェーン」への言及はこの1年で半数以下に減少、一方でエンタープライズ・ブロックチェーンへの投資は2018年から61%増加して4億3400万ドルとなった。大部分はリップルのシリーズCの資金調達によるものだ。
2019年、仮想通貨企業への投資は約23億5000万ドルだった。
レポートは、エンタープライズ・ブロックチェーンの多くの企業コンソーシアム──ハイパーレジャーやR3──は「まだ初期段階」と付け加えた。
「(企業は)概念実証と初期段階のトライアルを開始している段階とまだ我々は考えている」とカーン氏は述べた。
「良いデータを入手することが難しいため、うまく行っているか否かを判断することは難しい。(中略)コスト削減の見込みのみならず、エンタープライズ・ブロックチェーンを大規模に展開した結果として、どのような種類のコスト削減が期待できるかを示すことができれば、助けになるだろう」
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Zack Seward for CoinDesk
原文:VC Deals in Crypto Remained Steady but Amount Invested Fell in 2019: Report