大和証とクレディセゾン、暗号資産・担保ローンを開始──合弁企業のFintertechが発売

大和証券グループのスタートアップ・Fintertechは4月15日、暗号資産(仮想通貨)のビットコインを担保に日本円の融資が受けられる商品を発売した。

商品名は「デジタルアセット担保ローン」。保有する暗号資産(仮想通貨)を売らずに、法定通貨(日本円)を借り入れることができる。対象は法人や個人事業者で、貸付利率は実質年率4.0%〜8.0%。

担保となるのはビットコイン(BTC)で、掛目は50%。保証人は不要で、使途も原則自由だ。融資額は1,000万円から(100万円単位)で、最大5億円。契約期間は1年(ロールオーバーあり) で、追加借入も担保率200%以上で可能という。

ビットコインを購入した後、保有を続ける、いわゆる「ガチホ」と呼ばれる投資家が多く、Fintertechの新型ローンは、市場に潜在するニーズに応える金融商品と言えるだろう。類似の商品はこれまでにも存在したが、金融大手のグループ会社が提供するだけあって、今後さらに注目を集めそうだ。

大和証、クレディセゾンをバックに次世代金融サービスを展開するFintertech

返済は元利一括返済方式のため、毎月利払いをする必要はない。また、オプションとして、担保に差し入れた暗号資産で弁済することもできる。

Fintertechは、2018年に大和証券グループの100%子会社として設立されたスタートアップ。2020年1月には、クレディセゾンが資本業務提携を締結して、2社が株主となった。

Fintertechは15日の発表文で、「法人もしくは個人事業者を対象にビットコイン(BTC)を担保として法定通貨を融資することで、暗号資産の将来性に期待する長期保有者の方々の資金需要」にこたえるとコメントしている。

法定通貨の融資サービスは希少

これまで暗号資産を担保にした金融サービスといえば、保有するビットコインなどを貸し出し、利息も暗号資産で受け取るレンディングサービスばかりだった。

たとえば海外では、リクルートホールディングスのベンチャーキャピタルが出資する米BlockFi(ブロックファイ)が、その大手として知られる。国内でもコインチェックやビットバンク、GMOコインといった暗号資産取引所がレンディングサービスを提供している。

だが今回、Fitertechが発表した「デジタルアセット担保ローン」は、法定通貨の融資が受けられるサービス。こうした事例は、国内でも過去に例はあったものの珍しいと言える。また大和証券Gやクレディセゾンという金融大手の子会社が提供する点は、投資家の信頼感につながりそう。

市場に眠るビットコイン

そもそもビットコインを買ったものの、売らずに長期保有したままの投資家は多いと言われている。フィンテック企業デジタル・アセット・データによると、2020年1月現在、約1070万のビットコインは12カ月以上動いておらず、これは発行済みのビットコインの約60%は眠っているという計算だ。

国内にもこうしたガチホ勢(ホドラー、HODLer)は多いと見られる。暗号資産を保有しているだけでは利息のつかないため、「保有する暗号資産を有効活用したい」という投資家の声は根強い。

文:濱田 優
編集:佐藤茂
画像:プレスリリースより