大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスがナイジェリアで暗号資産決済アプリをローンチ。デジタル資産をめぐる、アフリカでの競争が激化している。
アフリカ最大の経済大国ナイジェリア
バイナンス(Binance)は4月23日、同社のソーシャル・ペイメントアプリ「バンドル(Bundle)」は、アフリカ全土のユーザーに、現金と暗号資産(仮想通貨)の両方を無料で保管・取引できる手段を提供するとプレスリリースで述べた。
バンドルは、まずアフリカ最大の経済大国ナイジェリアで使用可能となり、同国の法定通貨ナイラ(Naira)に対応した。その他、ビットコイン、バイナンスコイン、同社ステーブルコインのバイナンスUSDに対応している。
バンドルは、ナイジェリアの首都ラゴスのすぐ北にある町で育ったバイナンス・ラボ(Binance Labs)の元ディレクター、イェレ・バデモシ(Yele Bademosi)氏が発案した。バンドルは、2019年後半にバイナンスから45万ドルのシード投資を受け、同社エコシステムの一部でありながら、独立した事業体として運営される。
プレスリリースは、バンドルは「他のアフリカの投資家」によって支援されていることに触れたが、具体的な詳細は明らかにしていない。
2020年末までに30カ国に展開
バイナンスはすでにナイジェリアに進出している。バイナンスのナイジェリアの責任者は、2019年10月にナイジェリアの法定通貨ナイラの取引を開始した後、すぐに「数千」の新規サインアップがあったと2020年初めにCoinDeskに語った。
ナイジェリアを起点に、2020年末までにアフリカの他の30カ国でもバンドルを完全運用を行うとバイナンスは述べた。
アフリカでの競争は激化している。
ルノ(Luno)やビットペサ(BitPesa)のような現地の競合のみならず、ライバルの暗号資産取引所フォビ(Huobi)も中東とアフリカに子会社を設立している。
バイナンスの発表の数日前には、ラッパーであり起業家のエイコン(Akon)氏が、同氏のステラ(Stellar)ベースの暗号資産プロジェクト「Akon」は、この地域の主要な決済ソリューションとなる絶好のポジションにあると語った。
エイコン氏は、3万5000人が住むケニアのMMTC(エムワーレ・メディカル・テクノロジー・シティ、Mwale Medical and Technology City)の主要な決済手段として使用されることで、「Akoinは、東および中央アフリカの4億人の市場をコントロールし得る圧倒的なポジションを獲得した。当地では多くの人が、金融サービスをモバイル決済に依存している」と語った。
同氏はまた、2020年中にAkoinの取引能力を拡張することにより、5年以内にケニアのMMTCだけで1億件以上の取引を処理できるようになると付け加えた。
アフリカはビットコインの未来
バイナンスは隣国のウガンダで長い間、事業を続けてきた。ナイジェリアでのサービス開始と同時にケニアにも進出した。また、アフリカ第2の経済大国である南アフリカにも進出している。
バイナンスの広報担当者は、同社のアフリカにおける唯一の目的は、暗号資産の普及を促進することとCoinDeskに語った。
「アフリカで、より多くのプレイヤーが暗号資産決済サービスを提供していることは喜ばしい。長期的に、これは業界の成長と暗号資産の普及を促進することにつながる」
2020年はじめ、ツイッターの創業者であり、暗号資産に注力している決済企業スクエア(Square)のCEOであるジャック・ドーシー氏は、アフリカはビットコインの将来を決める上で大きな役割を果たすだろうと述べた。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Binance-Backed Crypto Payments App Launches as Race for Africa Heats Up