SBIホールディングスが、三井住友フィナンシャルグループと戦略的資本業務提携を締結した。スマートフォンを中心とした銀行サービスや、株取引などの証券サービス事業を一気に拡大させていく。
SBIとSMBCグループは4月28日、基本合意した内容を発表した。詳細のブレットポイントは以下の通り。
- スマホ証券:SBIネオモバイル証券とSMBCグループは、若い年代をターゲットにした投資初心者向けの金融サービスの開発を協議する。SMBCグループは、SBIネオモバイルの20%株式を取得する。
- 金融サービス仲介業:両社は、今後改正が予定されている新たな金融サービス仲介制度の活用を検討する。
- 対面証券ビジネス:SBIマネープラザとSMBC日興証券は、地域金融機関の対面証券ビジネスの共同提供を検討する。SMBC日興は、SBIマネープラザの株式を取得する。
- ファンドへの出資:SBIインベストメントが設立するベンチャーキャピタルファンドに、SMBCグループが出資する。同ファンドの投資ターゲットは、AI(人工知能)、ブロックチェーン、フィンテック、5Gなどの領域で活動する国内外のスタートアップ。
- 地方創生:両社が持つデジタル技術と金融サービスを活用し、SBIが新設する会社を通じて地方創生推進を目的とするサービスを開発、提供する。SMBCは新設会社に資本参加する。
- 証券システム:SBI証券とSMBC日興は、両社の証券システムの内製化・共通化に向けて検討する。
- 資本協力関係の強化:SBIとSMBCは、両グループのさらなる資本協力関係の強化を含む連携について、検討・協議を行う。
SBI証券は510万を超える口座数を誇る、国内ネット証券業界のリーダー的存在。今回のメガバンクとの提携は、既に競争が激化している国内市場に大きなインパクトを与える。同業界では楽天証券も事業拡大を続け、口座数は2019年12月末現在で約376万となっている。
顧客口座数が約535万で、国内最大証券の野村ホールディングスは昨年8月、LINEと共同でLINE証券を設立。国内で約8300万人のユーザーを持つテクノロジー企業のLINEは、野村と手を組みながら、今後どれだけSBIと楽天に追いつくことができるのか。
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文・編集:佐藤茂
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