世界のビットコインマイニングの中心地になっている中国のある都市は、夏の雨季を前に、水力発電の余剰電力の積極的な消費をブロックチェーン業界に公に呼びかけている。
余剰電力の消費を後押し
中国四川省にある雅安市は、おそらく今回初めて「ブロックチェーンの戦略的チャンス」をつかむために、公的なガイダンスを発行した。これによって、地域の水力発電の余剰電力の消費を支援できる。この地域はビットコインネットワークの演算パワーの50%以上を占めると推定されている。
ガイダンスでは特に言及されていないが、ビットコインマイニングは、ブロックチェーン業界の中でも電力の大量使用に依存していることで知られている。
地元日刊紙が4月20日に伝えたところによると、市政府は同市を水力発電の余剰電力消費の優良事例とし、また国内における「ブロックチェーン産業の重要拠点」に育てようとしている。
また、ガイダンスは、ブロックチェーン企業が使用する電力は、国の送電網に接続されている発電所から供給されるべきと強調した。
「原則的にブロックチェーン企業は、余剰電力があり、国の送電網に統合されている発電所の近くにマイニング施設を建設すべき」とガイダンスは述べた。
「(国の送電網に統合されていない)発電所で自家発電された電力を使っているブロックチェーン企業は、適時、是正されるべき」
本来は好機だが
このガイダンスはまた、2019年に中国の中央政府がビットコインマイニングに対する姿勢を変えたことに続くものだ。
内閣に相当する国務院を構成する26機関の1つである国家発展改革委員会は当初、2019年4月のガイドライン案でビットコインマイニングを排除すべき産業と位置づけていた。しかし、同委員会は11月のガイドライン最終案でその方針を変えた。
中国四川省は毎年、夏の雨季に水力発電の電力が余るという問題を抱えていた。
例えば、四川省の別の地域の政府は、同地域の水力発電所は2017年だけで415億kWhを発電し、163億kWhが無駄になったと以前、述べた。
このように、水力発電の余剰電力からもらたされる豊富で安価な電力が存在するため、春と夏は通常、中国のビットコインマイニング企業にとって歓迎すべき季節だ。
しかし今年は、2週間後に予定されている半減期を前に、ビットコインの値動きは低迷しているため、ビットコインマイナーの拡大投資は冷え込んでいる。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Chinese City Known for Bitcoin Mining Seeks Blockchain Firms to Burn Excess Hydropower