企業のデジタルトランスフォーメーションが進み、その波は資金調達にも及んでいる。ITが発達し、これまでにも新たな資金調達手段が生まれたが、改正金商法が施行されるまさに今年・2020年には、また新たな形の資金調達が可能になる。新型コロナウイルスが拡大し、経済の先行き不透明感が増す中、将来を見据えてDXに取り組む企業・ビジネスパーソンが今こそ注目すべきこと、取るべき行動とは何か──。
資金調達でも進むDX 2020年の今、注目の新しい形
デジタルトランスフォーメーションとは、進化したデジタル技術で人々の生活をより良いものへ変革することだ。AIや5G、IoTなどの充実で日々の生活、暮らしも変わりつつあるが、ビジネス・企業経営においてもDXは急速に進んでいる。
資金調達でもデジタル化が進み、クラウドファンディングなど、新しい資金調達手段が生まれているが、中でも今注目されつつあるのが、セキュリティトークンによる調達「STO」(セキュリティトークン・オファリング)だ。
STOというと、仮想通貨(注)であるコイン、トークンを発行するICOと比較し、「ICOを進化させたもの?」と思われがちだが、STOとICOは別物だ。
(注)資金決済法の改正(2020年5月1日施行)により、法令上、「仮想通貨」は「暗号資産」へ呼称変更されている
セキュリティ(Securities)とは株式や債券などの有価証券のことで、これをブロックチェーンで管理してトークンを発行する。つまり、「有価証券をデジタル化したもの」がセキュリティトークン。まさに今年施行の改正金商法で実現する、これからの技術でありサービスなのだ。
証券のデジタル化、セキュリティトークンがもたらすメリット
新たに誕生するセキュリティトークンは、どのようなメリットをもたらすのだろうか。
まず資金調達したい企業は、株式上場(IPO)などと比べてスピーディーに資金を調達できるようになる。投資家にとっては、ICOと異なり、裏付けとなる有価証券という資産があるため、比較的安心して投資の判断ができるだろう。
トークンの発行、配当や支払いなどのプロセス・手続きもデジタル化されており、通常の株式や債券の発行と比べ、ブロックチェーンの活用で透明性も上がるし、人の手を介さないため人件費などのコストがあまりかからない。今まで証券化が難しかったような小口の有価証券も対象にできる。たとえば100億未満の不動産を証券化したり、ベンチャーなど未上場企業の株式や中小企業の社債を発行したりといったことも可能になる。
セキュリティトークンが浸透することで、たとえば企業財務状況が正確にブロックチェーンで把握されていれば、会社の資金が減ってきた時、適切な金利での債券調達をオススメするサービスが生まれるかもしれない。
昨今、クラウドファンディングなど、可能性のある個人や法人への投資が注目されているが、こうしたファンによる将来価値への投資ともセキュリティトークンは親和性が高い。たとえばスポーツチーム、医療機関、飲食店などの組織・法人や、芸術家やアスリートなど個人でも、セキュリティトークン発行が可能だ。
海外のセキュリティトークン事情にも精通するシンプレクス株式会社の三浦和夫氏も、「キャッシュフローを生むものなら対象にできる」と指摘する。その上で、「たとえば朝起きてニュースを見ると、関連した投資先が案内されたり、よく行く飲食店でお店へのファン投資を勧められたり、そんな世の中が実現するかもしれない」と語る。
セキュリティトークンの登場は、発行する側からみれば、必要な時に、必要な資金を、様々な価値基準で、広く集めることができる時代になることを意味する。一方の投資する側からすると、より個人の感情と金銭的なリターンの双方を目的とした、多様性のある投資ができる時代になると言えるだろう。
最適なパートナーと出会うために見るべきポイント
新しい資金調達手法の登場に夢が膨らむが、かといって多くの企業や金融機関が単独で取り組むのは難しい。金融業界はボーダレス、セキュリティトークンの発行も世界の趨勢だが、日本の仕組みにあったサービス・システムの開発と商慣習にあった運用が必要だ。
やはりこの分野に知見がある、日本の商慣習にも詳しいパートナーが欠かせない。そこで注目したいのが、三浦氏が所属するシンプレクスだ。
同社は、FX(外国為替証拠金取引)の取引システムを多数構築するなど、国内で金融機関向けにシステム導入・構築をやってきた、“金融システム開発のプロフェッショナル集団”だ。ブロックチェーンを活用したサービス、仮想通貨の分野でも実績があり、LINEグループのLVC、DMM Bitcoin、ヤフーグループのTaoTaoなど国内の仮想通貨取引システムも作っている。
最近はブロックチェーンの注目度が高まり、多くの企業がシステム会社と組んで実証実験を行っているが、実証実験はともかく実際のビジネスにつなげるのは容易ではない。既存のシステムへのつなぎこみでは、工数やお金がかかってしまう。そこで頼るべきなのは、金融システム開発で豊富な実績のあるパートナー。シンプレクスなら、コンサルティングだけでなく、各企業のニーズにあわせたパッケージの提案まで可能だ。
詳細情報を載せたWebサイトも開設
同社はSTOのプラットフォームに必要なブロックチェーン技術だけでなく、AIを活用するノウハウも持つ。AIを搭載することで、膨大な取引データからユーザーの興味・関心に沿った投資案件をAIが表示できるようになる。
シンプレクスはセキュリティトークンの取り組みを本格化させるべく、専用のWebページを設けた。デジタル証券・セキュリティトークンを発行したい企業の担当者や、発行のインフラ・プラットフォームを構築したい金融機関・企業の担当者が疑問に思うであろうことに答えているほか、ユースケースを説明。たとえば小口不動産の証券化、モビリティやIoTなどを手掛けるスタートアップやVCの私募市場の一般開放などだ。詳しい話はオンラインミーティングなどでしっかり聞くこともできる。
お金と金融商品がデジタル化される時代に向け、コロナ禍の今できること
現在はコロナウイルス感染拡大を防止するため、多くの施設が休業を余儀なくされており、不景気を心配する声が強まっている。たしかにそうした側面も否めないが、お金の総量が減っているわけではない。流動性が落ちているのだ。
「流動性の落ち込みは著しいですが、ここで新たなお金のフローを作り出すことで、必要な時に必要な人の手元に資金を届けることが可能になります」と三浦氏は力を込める。いみじくもこのタイミングで誕生するセキュリティトークンが秘める可能性は大きい。
ここ数年、キャッシュレス化が進み、「お金のデジタル化」が進んだことは誰もが感じているはずだ。この流れから、金融商品をデジタルで管理し流通させる仕組みも広がってゆく。図らずもコロナ対策によるテレワークで誰もが実感しているように、企業、いや社会のデジタルトランスフォーメーションは一気に進む。
お金と金融商品の両方がデジタル化された時代は既に到来しつつある。そうした新しい時代に向け、今すべきことがあるはずだ。「コロナが落ち着いたら動こう」という姿勢で、変化の激しい時代を生き抜くことができるだろうか?
未来を見据え、自社のデジタルトランスフォーメーションや、デジタル証券による資金調達に関心を寄せる企業、金融機関、個人が相談すべきなのは、実績とソリューションを備えたシンプレクスのようなプロ集団と言っていいだろう。
デジタル証券・セキュリティトークンによる資金調達について詳しく知る
文・構成:CoinDesk Japan広告制作チーム
画像:Preechar Bowonkitwanchai / Shutterstock.com