コインチェック流出追跡のNEM財団、資金援助と大規模リストラ経て新体制へ

NEM財団は約800万ドル(約9億円)の資金援助と大規模な従業員のレイオフ(一時的な解雇)を経て、今後の運営方針の計画に取り組んでいる。

NEM財団は以前、2億1000万XEM(XEMはNEMブロックチェーン上で発行されている仮想通貨)の支援をNEMコミュニティ基金へ要請。2019年2月20日にコミュニティの主要なメンバーによる承認を受けた。同財団は3月1日、最初に受け取る2500万XEM(2019年3月8日時点の価格で約105万ドル)の用途について説明している。

NEM財団で代表を務めるアレクサンドラ・ティンスマン(Alexandra Tinsman)氏は、「これは産業が前進している証であり、我々はまったく新しい運営体制へ移行する準備ができている」と、コインデスクの取材で答えた。

NEM財団は、ピーク時の2018年には20カ国で150人の従業員を抱えていた。ティンスマン氏は、コンサルタントやフルタイムの従業員など100人近い人員を削減したことを認めた。2月上旬に公開された資金援助に関する提案書では、計画的なリストラ策により「全体の69%にあたる88名の従業員が余剰である」とされていた。

ティンスマン氏は「プラットフォームや製品、チームに対して財政的な責任を持つことは、最善の利益につながる」とした上で、「今までやってきたように、我々は製品にフォーカスすることが必要だ。これは良いことが起こるサインである」と述べた。

NEMはパブリックとプライベートの両方のネットワークをサポートするブロックチェーンのエンジン「Catapult(カタパルト)」を近くローンチする予定だ。NEM財団で暫定最高技術責任者(CTO)を務めるジェフ・マクドナルド(Jeff McDonald)氏は、コインデスク取材に対して「我々の技術は、他のブロックチェーンが成し遂げたことのないものとなる」と話した。

NEM財団は1月に財政難にあることを公表した。当時、新たに就任したティンスマン氏は、レイオフや深刻な予算削減を強いられているのは「以前の評議会による管理ミスだ」と述べていた。

2月初旬、ティンスマン氏が率いる運営チームは、NEMコミュニティに対して資金の支援案を提示。573名のメンバーのうち90%がNEM財団のNEMコミュニティ基金への要請を支持した。今回の2億1000万XEMの資金注入は、NEM財団による運営が2020年2月20日まで続くことを意味している。

NEMのプラットフォームは、企業がブロックチェーンアプリの開発・導入をするために使われてきた。仮想通貨の取引データを提供するコインマーケットキャップ(CoinMarketCap)によると、XEMは現在時価総額第19位の通貨となっている(2019年3月8日時点)。

翻訳:Kazuki Kinoshita
編集:久保田大海、佐藤茂
写真:NEM Foundation president Alex Tinsman speaks at SXSW 2018, photo via NEM/Facebook
原文:NEM Foundation Charts Path Forward After $8 Million Rescue, Major Cutbacks

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