取引所のウォレットに保管されるビットコイン、1年半ぶりの低水準:推計

暗号資産(仮想通貨)取引所のウォレットに保管されているビットコインの数が、1年半ぶりの低水準であることが、ブロックチェーン情報・グラスノード(Glassnode)のデータ推計で分かった。

データによると、取引所のウォレットに保管されるビットコインの数は5月26日現在、230万をわずかに上回るレベルで、年初から11%減少した。一方、イーサリアムは同期間で7%以上の増加となった。

取引所残高のデータ分析は推定に過ぎず、一部の取引所のアドレスが見落とされていたり、データ集計の際に認識されないケースもあるが、ビットコインを保有する投資家が個人で保有するようになっているとの見方がある。

ラストリゾート・ホルダーの存在

取引所のビットコイン数
出典:Glassnode

積極的に、しばしば思想的な理由でビットコインを購入する人たちの一部は「ラストリゾート・ホルダー」と呼ばれる。市場の動きがどうであれ、売るつもりはない人たちと考えられている。

このタイプの投資家は「長期間にわたってビットコインを購入し、ビットコインを自己保有」し続けるため、取引所のビットコイン残高の減少につながっている可能性があると、暗号資産取引所大手クラーケン(Kraken)のビットコインストラテジスト、ピエール・ロカード(Pierre Rochard)氏は言う。

プライムブローカーの台頭

もう一つの理由として考えられるがプライムブローカーの台頭だ。プライムブローカーが提供する新しいサービスによって、取引所のウォレットで保有されているビットコインが減少する可能性があるという。

5月21日、トレーディングと融資を手がけるジェネシス(Genesis)は、フルサービスのプライムブローカーを目指す戦略の一環として、暗号資産カストディアンのVo1tを買収した。

またデジタル資産プライムブローカーのタゴミ(Tagomi)も最近、機関投資家向けサービスの拡充を図る暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)によって買収された。

「取引所でのビットコインが減り続けていることは、ビットコインの個人保有層の強い自信のあらわれではないか」と、デジタル資産調査会社デルフィ・デジタル(Delphi Digital)の共同創業者ヤン・リバーマン(Yan Liberman)氏は話す。

リバーマン氏によると、約60%のビットコインが12カ月以上にわたって動いていないという。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Shutterstock
原文:Number of Bitcoins on Crypto Exchanges Hits 18-Month Low