スイスのプライベートバンク、暗号資産取引の機関投資家向けサービスを開始

スイス・チューリッヒに本社があるプライベートバンクのマエルキ・バウマン銀行(Maerki Baumann)が、機関投資家を対象とする暗号資産(仮想通貨)の取引サービスを始めた。同社のブログで明らかにした。

マエルキ・バウマンに対して行われる取引注文は迅速に、パートナー企業を介して暗号資産ブローカーと流動性の高い暗号資産取引所に送られる。売買価格の差(スプレッド)を狭い範囲に収めていくと、同社は5月29日にブログに投稿。

マエルキ・バウマンの主な顧客は機関投資家と超富裕層で、新サービスの顧客ターゲットでもある。同行は2019年4月に暗号資産業界へ参入し、一部の暗号資産企業に法人口座も提供している。

スイス金融市場監督局(FINMA)の認可を受けた新サービスは、今月中に始まる予定で、取り扱う暗号資産はビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、リップル(XRP)、ライトコイン(LTC)、イーサリアム(ETH)。今後、需要に応じて、通貨の種類を増やしていく方針だ。

富裕層、機関投資家の暗号資産取引

富裕層や機関投資家を対象にした暗号資産取引サービスは、増加傾向にある。同事業を拡大する動きは、欧米市場を中心に見られる。

運用資産残高が1000万ドル(約11億円)を上回る機関投資家や、プロ投資家を顧客に持つファルコンX(Falcon X)は5月、1700万ドル(約18億円)を超える資金を調達し、事業を広げていく。

ファルコンXとマエルキ・バウマンは共に複数の取引所と連携して、スピーディな取引を可能にすることで、富裕層や機関投資家の需要を取り込む。

大手暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)や、ジェネシス・トレーディング、ビットゴー(BitGo)なども、機関投資家に専用の取引サービスを提供する事業者(プライムブローカー)として、事業の拡大を図っている。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:スイス・チューリッヒの金融センター(Shutterstock)
原文:Private Swiss Bank Rolls Out New Premium Crypto Trading Service