オンライン決済プラットフォーム「Omise」を展開するSYNQAが、トヨタファイナンシャルサービスや三井住友銀行などから8000万ドル(約86億円)の資金を調達した。キャッシュレス化が加速するアジア域内での事業拡大を進める。
シンガポールに本社に置くSYNQA(旧・Omise Holdings)は22日、シリーズCの調達ラウンドが完了したと発表。同ラウンドには、タイのサイアム商業銀行やあいおいニッセイ同和損保、SMBCベンチャーキャピタル、スパークス・グループなどが参画した。
新型コロナウイルスの感染拡大が、オンライン通販・オンライン決済へのシフトを国内外で加速させる中、SYNQAはブロックチェーンを活用した「OMGネットワーク」と、オープンAPIの技術を使ったデジタル決済ソリューション事業をアジア域内で強化させる方針だ。SYNQAはこれまで同域内の数千の小売り事業者に、オンライン決済サービスを提供してきた。
SYNQAはキャッシュレス化の波が今後もアジア全域で急速に広がっていくと見込み、オンライン決済に関連した新たなサービスの開発も進めていく。
事業会社としてのOmiseは2013年にタイで設立。オンライン決済プラットフォームやeウォレット、ブロックチェーンのOMGネットワークなどを開発してきた。シンガポールに加えて、タイやインドネシア、マレーシア、日本にも拠点を設けた。今年、社名をOmise Holdings(Omiseホールディングス)からSYNQAに変更した。
Omiseの創業者であり、SYNQAの代表取締役を務める長谷川潤氏は、「現在、世界的に非常に困難な状況だが、だからこそデジタル決済や企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するチャンスだとも感じている」と22日の発表文で述べている。長谷川氏はこれまでに複数のブロックチェーンに関わる事業を手がけてきた。
文:佐藤茂
写真:SYNQA提供