アリババが総流通額1兆ドル達成、中国市場の6分の1を独占──CEOが投資家へ書簡【2020年度決算】

アリババグループのダニエル・チャン(張勇)会長兼CEOは7月10日、投資家への書簡を発表、グループが5年前に定めた戦略目標であるGMV(総流通額)1兆ドル(約107兆円)の達成を報告した。さらに次の目標として、5年以内の早期にアリババプラットフォーム上で消費総額10兆元(約150兆円)を達成することなどを挙げた。投資家への書簡は、昨年就任したチャンCEOにとっては初めてのもの。アリババは同日、2020会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)のアニュアルレポートも発表している。

中国の消費財小売総額の6分の1、「きわめて重要なマイルストーン」

チャンCEOは書簡の中で、GMV1兆ドルの達成について、中国商務部の統計によると中国の消費財小売総額が6兆ドル(約642兆円)あまりであることに触れ、「きわめて重要なマイルストーン」と評価した。

また、新型コロナウイルス感染拡大についても触れ、「全人類共通のチャレンジ」と指摘、大きな影響や変化があったことを認めながらも、グループにとっては「インフラとはなにか?」という問いかけへの深い理解を得る契機となったと振り返った。同時に“永遠に変わらぬ確かなこと”として「経済と社会生活は全般的にデジタル化に向かうという大きなトレンド」を挙げ、「今や全分野でデジタル化が進んでいる」と強調した。

「2036年までに世界20億人の消費者へのサービス提供」

さらに長期の目標として、2036年までに世界20億人の消費者へのサービス提供、1億人の雇用創出、1,000万社の中小企業が利益を生み出すための支援を掲げ、こうした目標を実現するための3大戦略「グローバル化、中国国内の需要拡大、クラウドコンピューティングとデータテクノロジーの活用」を堅持すると述べた。

このほか、昨年、20周年を迎えたグループの歴史を振り返り、タオバオ(マーケットプレイス)、アリペイ(決済プラットフォーム)、ツァイニャオ(菜鳥、物流ソリューション)、DingTalk(モバイルオフィスソリューション)などにも触れた。

2020会計年度の結果については、アリババグループは5月、既に投資家説明会を開催している。書簡は日中英の3ヵ国語で、アニュアルレポートは中英の2ヵ国語で発表された。

文:濱田 優
画像:アリババグループアニュアルレポート