保有する暗号資産(仮想通貨)を元手に融資を行うことができるプラットフォーム「コンパウンド(Compound)」は、同プラットフォームの融資額が10億ドル(約1070億円)を突破したと発表。米暗号資産業界で注目を集めるのが、コンパウンドなどの分散型金融(DeFi)ビジネスで、今後さらなる成長が期待される。
融資額は7月10日時点で9億3300万ドルに達していたが、週末には新たに7000万ドルの新規融資が実施された。コンパウンドには、米ベンチャーキャピタル大手のハンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)やベイン・キャピタル・ベンチャーズ(BainCapital Ventures)、暗号資産取引所を運営するコインベース(Coinbase)などが出資している。
DeFiサービスは一般に市場から資金を集めて、融資サービスを提供する事業。 ユーザーはコンパウンドのプラットフォームで、指定された暗号資産を担保として預け入れれば、融資を受けることができる。承認プロセスはなく、パーミッションレスに融資は提供される。
人気を高めるコンパウンドの施策
コンパウンドのユーザーが増えた理由の一つに、同プラットフォームが新たに始めた施策がある。コンパウンドは6月、資金の提供者と借り手の双方にガバナンストークン「COMP」を提供すると発表。COMPは売買取引が可能な暗号資産だ。その後、他のDeFi企業も同様の取り組みを始め、ガバナンストークンの発行を発表している。
コンパウンド上で主に利用される通貨は、米ドルに連動するステーブルコインの「ダイ(DAI)」だが、DeFi事業の拡大に伴い、ダイ(DAI)の借り入れ残高は同通貨の時価総額の1億9500万ドル(CoinGecko調べ)をはるかに超え、8億ドルにまで膨らんだ。
この金額の歪みは、ユーザーがリターンを最大化した結果だという。ダイを借りてコンパウンドに預け入れ、融資を受けた資金をさらに預け入れるなどして、ユーザーはレバレッジを上げるための取引を繰り返す。
コンパウンドで最も人気のある借り入れ通貨はダイ(DAI)。次いで、USDSコイン(USDC)とイーサリアム(ETH)が続く。同プラットフォームの預かり残高は現在、17億ドルにのぼる。
大手VCが出資するコンパウンド
コンパウンドのガバナンストークン「COMP」は劇的な結果をもたらした。DeFi Pulseによると、COMPの配布が始まる前日の6月14日、コンパウンドの預かり残高は1億ドルに満たなかった。
コンパウンドは2018年9月、ベイン・キャピタル・ベンチャーズ(Bain Capital Ventures)、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz:a16z)、ポリチェーン(Polychain)から資金を調達したと発表。2019年11月にはアンドリーセン・ホロウィッツを中心に調達ラウンドを実施し、2500万ドルを取得した。
CoinGeckoによると、時期執筆時点でガバナンストークン「COMP」は173ドルで取引されており、6月21日の最高値373ドルから下落している。Coindeskはコンパウンドを運営するコンパウンドラボ(Compound Labs)に取材を試みたが、コメントは得られなかった。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:コンパウンドのWebサイト
原文:Compound Tops $1B in Crypto Loans as DeFi Farmers Keep Digging for Yield