三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)のデジタル通貨「coin(コイン)」が、2020年度内にも実用化されることが分かった。7月14日までに朝日新聞や毎日新聞など大手報道機関のインタビューで、亀沢宏規社長が明らかにしたもの。報道では時期について、「今年度後半にも」とされている。
リクルートのサービスで「1コイン=1円」で利用可
報道によると、コインを共同運営するリクルートのWebサービス、サイト加盟店などでまず利用できるようにする。4月にMUFGの社長に就任した亀沢氏はインタビューで、「リクルートが持つ若年層との接点と、我々の金融ノウハウとを合わせてサービス提供したい」と述べたという。両社は昨年、コインを運営する共同出資会社の設立をすることで合意している。
亀沢社長はまた「オープンに皆が使える形で考えている」と述べており、将来的にはリクルートのサイト以外でも利用できるようにすると見られる。
利用者は、リクルートの旅行予約サイト「じゃらん」、飲食店の予約サイト「ホットペッパーグルメ」、美容院予約サイト「ホットペッパービューティー」などで「1コイン=1円」で支払いに使える。換金して銀行口座へ戻すことも、個人間送金にも使えるようになる見込みだ。
コインの構想については、2019年4月に、ブロックチェーンを基盤にした独自のデジタル通貨「MUFGコイン」(発表当時)を19年後半に実用化する方針であることが報じられていたが、先送りになっていた。
Suicaとの連携の可能性も
三菱UFJ銀行はまた、ほかのメガバンクやKDDI、セブン銀行、NTTグループ、JR東日本などとともに、デジタル通貨でのデジタル決済インフラの実現を目指すための勉強会に参加することが6月3日に報じられている。
勉強会は9月ごろまで行われる予定で、開催の目的は、デジタル通貨やデジタル決済インフラに対する課題と解決方法の検討、 議論を進め、 実現に向けた合意点を見出し、 サービスやインフラの標準化の方向性を示すこと。その中で、三菱東京UFJ銀行の「coin」とJR東日本のSuica(スイカ)の連携なども検討されると見られている。
文:CoinDesk Japan編集部
編集:濱田 優
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