日本銀行が、中央銀行デジタル通貨に対応するための情報提供依頼を始めた。CBDCの技術面での基本事項に関して検討する上で参考にするのが目的で、ITシステムの開発や製品・サービスを提供している事業者から関連情報や資料の提供を受けたい考え。情報提供依頼書は郵送にて貸与、費用は提供者持ち。書類の貸与は8月31日まで行い、情報の提出は9月18日まで受け付ける。
「現時点においてCBDCを発行する計画はありません」
今回の情報提供依頼でも改めて「現時点において中央銀行デジタル通貨を発行する計画はありません」と明示している日本銀行。CBDCを発行することに特に積極的な姿勢を示しているわけではないが、その重要性は認識している。
たとえば欧州の中銀と共同研究に取り組んでいるほか、7月2日には技術的課題についてまとめたレポート「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」を発表、この中で、「⽇本銀⾏としては、実証実験等を通して、技術⾯からみた実現可能性(フィージビリティ)を確認していく」として、実証実験を行う可能性を示唆している。さらに、7月20日に決済機構局決済システム課に「デジタル通貨グループ」を設置した。
これに先立つ7月17日に閣議決定された「骨太の方針2020」では、原案になかったデジタル通貨に言及されるなど、注目度・関心度が高まっていることもあってか、このところ動きを加速しているように見える。
参加申込書の提出などは郵送のみ。情報提供はメールでも受け付け
書類の交付は、メールやダウンロードではなく“郵送”で行うという。参加申込書と誓約書の提出が条件で、これらの書類を事業者が配達証明などを利用して日銀に郵送、不備がなければ日銀から郵送で依頼書が送られてくる。事業者からの情報提出資料の提出は郵送に限らず、メールでも受け付けるという。提出期限は2020年9月18日午後5時。
日銀は、「今後、日本銀行がCBDCの技術面での基本事項にかかる実証実験をITシステムの開発や製品・サービスの提供を行う事業者と行うこととなった場合においても、その事業者の選考等とは一切関係ありません」としている。さらに資料の返却はされず、費用も事業者持ちだが、「後日、提出された資料の内容に関するヒアリングまたは追加の資料提供をお願いする場合がありますので、その際はご協力を賜りますようお願い致します」としている。依頼の詳細は日銀サイトでPDFにて配布されている。
文・編集:濱田 優
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