ビットコインのスポット取引は8月13日、鈍い動きを見せるが、ビットコインの保有者は同暗号資産を分散型金融市場に注ぎ込む動きを強めている。
13日20時(協定世界時=日本時間14日5時)時点で、ビットコインは1万1543ドル付近で取引され、過去24時間で0.50%下落した。
10日移動平均線と50日移動平均線をわずかに上回っており、テクニカル分析では強気から横ばいのサインとなっている。
オプション市場の動き
一方のオプション市場では、ビットコイン価格が長期的に変動すると見通すトレーダーが目立っていると、オンライン銀行「スイスクオート(Swissquote)」のデジタル資産責任者クリス・トーマス(Chris Thomas)氏は述べる。
「インプライドボラティリティ(オプション価格から将来の価格変動を予想した指標)は上昇に転じているがが、さほどでもない。トレーダーは次の大きな動きを期待しており、ロングボラティリティ戦略を好む傾向にある」
流動性プロバイダー、Tritumのジョン・ウィロック(John Willock)CEOは、ビットコインは年内に大幅に上昇するが、安定した上昇トレンドにはならないと予想する。
「特に1万5000ドルに達した後は、越えるべき心理的ハードルがかなりある。現在のペースが続けば、今年は間違いなく1万6000ドルになるだろう」とウィロック氏は付け加えた。
スイスクオートのトーマス氏はまた、オプション市場は現在、機関投資家よりも個人投資家の関心が高いと話す。
同氏は機関投資家向けのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が相対的に低迷しているのに対し、個人投資家向けプラットフォームのデリビット(Deribit)でビットコインオプションの建玉(未決済契約数)が増加していることを指摘した。
デリビットは新興の暗号資産デリバティブのプラットフォームだ。一方、CMEには、あらゆる種類のコモディティ投資を行うために最大手の金融機関が集まっている。
「機関投資家は(ビットコインオプション市場を)避けているということだ。まるでその多くがサマーバケーションを取っているようだ」(トーマス氏)
DeFiに流入するビットコイン
イーサリアム(ETH)は13日20時(協定世界時=日本時間14日5時)時点で394ドル付近まで上昇し、24時間で1.3%の上昇となった。
DeFi Pulseによると、DeFi(分散型金融)にロックされた(預け入れられた)ビットコインは10日、2万5000ビットコインを超え、現在は2万7027ビットコイン(約340億円)となっている。
預入先として最も多いのはWrapped Bitcoin(wBTC)。投資家はwBTCを使えば、イーサリアムネットワークでビットコインを利用できる。現在、2万1000ビットコイン超がwBTCにロックされている。
暗号資産カストディ企業Trustologyの最高技術責任者マーク・ホーンズビー(Mark Hornsby)氏は、DeFiにおけるビットコインの役割はより大きくなる可能性があり、多くのビットコインがイーサリアムネットワークにロックされる可能性があると述べる。
「ビットコインは圧倒的な規模を持っているため、DeFiにとって魅力的。おそらく、ラップされた(イーサリアム規格に合うようトークン化された)ビットコインから生まれる貸し出しや、借り入れはビットコインを強化し、その結果、ビットコイン価格を上昇させる可能性がある」とホーンズビー氏は言う。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Bitcoin Price Index
原文:Market Wrap: Stuck at $11.5K, Bitcoin Surpasses 25K Locked in DeFi