ビットコイン(BTC)の8月1カ月間の値上がり幅は2.27%にとどまり、米主要株価指数S&P500の同月の上昇率を下回った。
ビットコインは、CoinDeskのビットコイン・プライス・インデックスによると、月初から2.27%上昇となる1万1610ドル付近で取引されている。一方、TradingViewのデータによると、S&P500株価指数は、月初から上昇幅は7%を超えた。
ビットコインが8月をプラスで終えるのは、価格が66%上昇した2017年8月以来のことだ。
ビットコインは8月17日に1万2400ドルを超えたところで頭打ちとなり、以来、1万1100〜1万1800ドルのレンジにとどまっている。
9000ドルを下回った7月の安値からの上昇は、機関投資家やマクロトレーダーからの需要が弱まっているために勢いを失っている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)での先物の建玉(未決済の契約総数)は、28日に6億5300万ドルとなり、8月17日に記録した過去最高の9億4800万ドルから30%減少した(調査会社スキューのデータ)。
ビットコインが8月17日までの4週間で9000ドルから1万2400ドルに急騰する中、CMEでの建玉は同期間、150%増加した。
資金はビットコインからDeFiへ
投資家は資金をビットコインから、活況を見せるDeFi(分散型金融)に関連した暗号資産(仮想通貨)に移動させた可能性がある。
DeFiプラットフォーム「Aave」のトークン「Lend」は今月150%の上昇となっている。
他のDeFiトークン、例えば、オラクルプロバイダー「チェーンリンク(Chainlink)」のトークン「LINK」や融資プラットフォーム「コンパウンド(Compound)」のトークン「COMP」も、それぞれ108%、55%の上昇となった。
オラクル:DeFiのスマートコントラクトとチェーン外の出来事を結びつける情報。
イーサリアム(ETH)も20%以上の上昇となり、8月、ビットコインを大きく上回った。
ビットコインに割安感も?
9月以降、マイナス利回りとなっている米国債が、ビットコインと株式の双方の上昇を後押しすると予想されている。
また、価値の保存手段と考えられているビットコインは、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が従来よりも物価上昇を容認する方針を示したことを受けて、アメリカのインフレ期待が加速し始めていることから、株式よりも大きな買い需要を集める可能性がある。
ビットコインは依然として過去最高値の2万ドルから40%下落しており、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかでも最高値で取引されている株式と比較すると、相対的に割安感があるように思える。
だがLMAX Digitalの通貨ストラテジスト、ジョエル・クルーガー氏によると、株価調整の可能性は依然としてビットコイン下落のリスクになるだろうとコメントした。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstocck
原文:US Stocks Closing on Bigger August Gain Than Bitcoin