2020年上半期に暗号資産(仮想通貨)取引所のbitFlyerで口座を開設した人の数が最も多かったのは20代で、同期間の新規開設者数の3割以上を占めた。同社が行ったインターネット調査では、20代が暗号資産の取引に動いた背景が分かってきた。
bitFlyer(ビットフライヤー)はヨーロッパとアメリカでも暗号資産取引所の運営を行っているが、両市場でも同じく20代による口座開設者が最も多かった。同社は8月、今年1月~6月に口座を開いた顧客を対象にアンケート調査を実施、539名から回答を得た。定量的なアンケート調査に加えて、20代の口座開設者へのヒアリング調査も行った。
新型コロナウイルスのパンデミックが世界の主要株式指数を暴落させた3月、現金の一部をビットコインなどの暗号資産に代えて保有する動機に繋がったと話すのは、bitFlyerでマーケティング部長を務める西村顕一氏。
老後資金、2000万円不足問題
また日本では、「年金だけでは老後資金が2000万円不足する」と試算した金融庁のワーキンググループの報告書が昨年、世代に関係なく未来の資金をどう確保すれば良いのかという不安を煽った。この「2000万円不足問題」に対する懸念は、20代が暗号資産に動き始めた一要因となっていると、西村氏は説明する。
「インタビューを通じて、株式投資をすぐに始められるほどの知識がさほど多くない20代が存在していることが分かってきました。資金もあまり多く持たない若い人たちが、まずは少額の資金でビットコインを保有してみようと考え始めたのだと思っています」(西村氏)
bitFlyerは国内で2014年から暗号資産取引所を運営しているが、口座開設者全体では、30代が最も多く、全体の32.1%を占めている。次いで40代が26.2%で、20代は20.9%。西村氏は、全体の口座数においても今後、20代のシェアが増加していくと述べた。50代は14.1%で、60代は6.6%。
「あらゆる資産クラスにも言えると思いますが、価格が動く時は口座開設者の数が増える傾向にあります」と西村氏。同氏によると、bitFlyerでの新規開設者数は、ビットコインの価格が100万円に達した5月に大きく伸びたという。
また、bitFlyerの今回の調査では、「最も期待している仮想通貨は何か」の問いに、6割の回答者がビットコインと答えた。イーサリアム(ETH)と答えた回答者は12%で2番目に多かった。リップル(XRP)は9%で、ネム(NEM)が5%。ベーシックアテンショントークン(BAT)は2%だった。
文・編集:佐藤茂
写真:Shutterstock