ビットコイン
週末のビットコイン市場はほとんど動きがなく、9月はじめから始まった下落トレンドからはひと息ついた。
「重要なことは、1万ドルの大台を維持していること。ここからゆっくりと再構築していくことを期待したい」とスイスクォート銀行のデジタル資産責任者、クリス・トーマス(Chris Thomas)氏は述べる。
だが暗号資産ブローカー、コイン(Koine)の機関投資家向けセールス責任者、ルパート・ダグラス(Rupert Douglas)氏はさらなる下落を否定していない。
「ビットコインがどこまで反発するか、今は判断が難しい。私が懸念しているのは株式市場で、テック企業は2000年に似たようなバブルにあると考えている」
株式市場
8日の株式市場は混迷し、日本からは希望が持てる数字が出ているが、ヨーロッパとアメリカの市場は下落している。
・日経平均株価は、中国の貿易収支がプラスとなり、楽観的な見方が広がったことから、0.80%上昇した。
・ロンドン株式市場のFTSE100は、ブレグジット(イギリスのEU離脱)およびEU(欧州連合)との貿易問題への懸念から、1%下落した。
・アメリカのS&P500は、先週始まったテクノロジー企業の下落が続いており、2.8%の下落となった。特にアップルは6.7%下落した。
「まもなく株価は大きく下落すると考えているが、2月と3月に株価が下落したときと同じように、ビットコインも下落するだろうか? それが問題だ」(ダグラス氏)
この1カ月でビットコインは13%以上下落したが、株価はテクノロジー企業や政府によるさまざまな経済刺激策に支えられ、ビットコインよりも持ちこたえている。
デリバティブ市場
デリバティブ市場では、ビットコイン先物の建玉(未決済の契約総数)は7月上旬以来の低水準にまで減少し、現在は約37億ドルとなっている。
「ビットコイン先物の取引高はここ数日、減少しているが、これはアメリカがレイバー・デーで連休だったせいもある。先週は取引高の多い日があったため、取引高は平均的なレベルに戻った」とスイスクォート銀行のトーマス氏は付け加えた。実際、1日の取引高は51億ドルと急増、その後は減少している。
DeFi(分散型金融)
週末、ビットコインは比較的静かだったが、DeFi(分散型金融)では、スシスワップ(SushiSwap)が再び注目を集めた。トーマス氏は騒ぎが沈静化することを望んでいる。
「私にとっては、しばらくは静かにしていることが重要。DeFiは数週間は落ち着いており、これ以上のクレイジーな未監査プロジェクトが問題を引き起こすことはない」
データサイトのDeFi Pulseによると、DeFiにロック(預け入れ)された金額がはじめて減少。9月1日に95億ドルを超えたあと、5日までに20億ドル近く減少し、その後、わずかに回復した。
「これはおそらく、イーサリアム価格の下落によるものだろう。イーサリアムは約30%下落した。波及効果がある」とシンガポールを拠点とするDeFiイールドファーマーのジュン・イ(Jun Yi)氏は述べた。
特にイーサリアム保有者は手を引き始めたようで、9月4~5日の小幅な回復のあと、44万超のイーサリアムが「アンロック」された。
一方、DeFiにロックされているビットコイン(BTC)数は8日、8万ビットコインを超え、依然として上昇傾向にある。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:CoinDesk 20 Bitcoin Price Index
原文:Market Wrap: Bitcoin Hangs Around $10K; Locked DeFi Value Drops