ビットコインは1万1000ドル目前で取引され、市場の強気心理が続いている。その勢いを支えるファンダメンタルズとは何か?
「ビットコインは最近の1万100〜1万500ドルのレンジを抜け出そうとしている。1万600〜1万800ドルのレンジを十分に維持できれば、次のターゲットは1万1000ドルになる」と暗号資産(仮想通貨)取引会社ExoAlphaの最高投資責任者、デビッド・リフチッツ氏は話す。
リフチッツ氏はビットコインを楽観視する理由として、ビットコインのマイニング・ハッシュレート(マイニングに使われる計算能力)が過去最高である点をあげる。実際、ビットコインネットワークの1日あたりの平均ハッシュレートは14日、1秒あたり1億5100万テラハッシュに達した。
ハッシュレートの上昇は、9月19日に予定されている次のマイニング難易度の調整も過去最高を更新する可能性が高いことを意味する。「難易度は今週後半、上方に調整され、過去最高を更新するだろう」と同氏は付け加えた。
強気心理を支える他の要因
暗号資産仲介企業ベクワント(Bequant)のリサーチ責任者、デニス・ビノコウロフ氏は、ビットコインの強気の動きを後押しする他の動きを注視する。
「上場会社のマイクロストラテジー(MicroStrategy)がさらに1万6796ビットコイン(BTC)を1億7500万ドル(約185億円)で購入したことと、DeFi(分散型金融)にビットコインが流入しているという新たな動きはすべて、強気の市場心理を支持していることを示している」
複数資産を取り扱うイートロ(eToro)のガイ・ハーシュ氏は、少なくとも3年間動いていないビットコインは31%を超え、2017年後半以来の最水準になったと指摘した。
ハーシュ氏は、原因の一部はDeFi(分散型金融)によるものと見ている。
「複数のDeFiプロジェクトは大きな問題を抱えているが、DeFiプロジェクトへの流入量は増え、DeFiにロック(預け入れ)されたビットコインも増加している。こうした動きは、長期保有者が増え、機関投資家などが暗号資産への投資に積極的になっていることを示している」
DeFiの後押し
データサイトのDeFiパルス(DeFi Pulse)によると、DeFiにロック(預け入れ)されたビットコインは初めて10万BTC(約1130億円)の大台を超え、現在は10万1719BTCに膨らんだ。
DeFiにロックされた暗号資産の総額はドル換算で見ると、再び100億ドル(約1兆600億円)に向けて上昇している。
「ロックされた金額の巨大かつ急速な成長は否定できない。驚くべきものだ」とスウェーデンのビットコイン相対取引(OTC)トレーダーのヘンリック・クーゲルベルク氏は述べ、DeFiにロックされたビットコインは今後も増加を続けるだろうとしている。
「10万ビットコインは大きな金額だが、ビットコイン全体から見ると実際はわずかな量にすぎない。水門は開いたと考えている。あとはビットコインが流れ込んでくるだけだ」
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:TradingView
原文:Market Wrap: Bitcoin Hits $10.9K; Total BTC Locked in DeFi Passes 100K