法定通貨などに連動するステーブルコインの供給額が200億ドル(約2兆1000億円)を超えた。5月に100億ドルを突破してからわずか4カ月で倍増した。
ステーブルコイン需要の急拡大はその背景に、ビットコインを中心とする暗号資産の価格が伸び悩んでいることがあると、暗号資産分析会社トレードブロック(TradeBlock)のジョン・トダロ(John Todaro)氏は語る。
「一部の取引所は法定通貨での取引を提供していない。そのため、ボラティリティ(価格変動)の高い時期に法定通貨に似た資産にリスク回避するトレーダーにとって、ステーブルコインは唯一の選択肢になっている」とトダロ氏は述べる。
DeFi人気や規制回避
多くのトレーダーや個人投資家は、ステーブルコインをよりリスクの高い暗号資産に資金を投入する前の中間ステップと捉えている。ドルなどの法定通貨を使ってステーブルコインを購入した後、そのステーブルコインでビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の取引を取引所で行う。
データサイトのグラスノード(Glassnode)によると、最も人気のあるステーブルコインであるテザー(USDT)の取引所残高は今年4月に、過去最高を記録した。
また、ステーブルコインの需要急増は、DeFi(分散型金融)市場の拡大も一つの要因になっている。ステーブルコインは、ユニスワップ(Uniswap)やカーブ(Curve)、AaveなどのDeFiプラットフォームで使われている。
さらに、政治的な不確実性が高まるなか、ステーブルコインは個人や企業が「米ドル資産を移動させるための資本規制などを回避する」ためにも使われているとトダロ氏は述べた。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:Stablecoins Hit $20B Milestone, a Nearly 300% Year-to-Date Surge