LINE証券、2022年に100万口座、営業収益100億円──野村との連携を深化

LINEと野村ホールディングスが昨年に立ち上げたLINE証券は、口座開設数が31万を超え、2022年には100万口座を目指す計画を明らかにした。

LINE証券は、20代から40代の働き世代をコアターゲットに据え、スマートフォン株取引事業を進めてきたが、今後は50代から60代も含めた長期投資を目的とするユーザーを広く取り込んでいく。

その第一弾として、LINE証券は2021年からLINE上で個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を開始する。毎月一定の金額を積み立て、投資信託などの金融商品で自らが運用し、60歳以降に年金として受け取るiDeCoをLINE上で展開することで、長期投資家の囲い込みを図る。

LINE証券の事業戦略説明会プレゼンテーション資料より

LINE証券は9月29日、オンラインとオフラインのハイブリッドで事業戦略説明会を開き、昨年8月の設立からこれまでの事業展開と今後の戦略を発表した。説明会には、LINE Financialの齋藤哲彦CEO(最高経営責任者)と、LINE証券のCo-CEOを務める落合紀貴氏と米永吉和氏に加えて、野村がデジタル戦略を加速させるために立ち上げた「未来共創カンパニー」を統括する池田肇氏が出席した。

LINE証券は29日の会見で、現時点での預かり資産残高などの数字を開示しなかったが、営業収益を2022年には100億円まで伸ばしていくと述べた。LINE証券は年末までに、資産管理サービスのマネーフォワードとのAPI連携を行い、LINE証券のユーザーが簡単に同サービスを利用できるようにする。

野村はLINE証券に対してコンプライアンスやセキュリティの面でサポートしてきているが、今後は金融商品や金融情報についてもさらに連携を深化させていくと、池田氏は会見で述べた。

LINE証券の事業戦略説明会のプレゼンテーション資料より

「約8400万人のユーザーを持つLINEと日本の金融の未来を変えていくことができるだろうと思っている」(池田氏)

国内のオンライン株取引サービスでは、SBI証券や楽天証券が同市場をけん引しており、LINE証券は今後さらに急ピッチで商品を揃えていく必要がある。落合氏は、「開業してまだ1年。ユーザーのニーズに全て応えられてはいない」とした上で、「優先順位をつけて、サービスを広げていきたい」と述べた。

LINE証券の事業戦略説明会のプレゼンテーション資料より

また、LINEと、ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)は来年3月の経営統合を目指している。LINEはZHDが展開している金融事業とどう連携していくのかの質問に対して、LINE Financialの齋藤CEOは、統合前で話し合いをしていることはないとコメントした。

LINE証券は、LINEの金融事業会社であるLINE Financial(51%)と野村(49%)が2019年8月にスタートさせた。資本金は400億円。

文:佐藤茂