フリーランス向け仕事サイトを運営するムーンライティング(Moonlighting)は、70万を超えるユーザーアカウントを同社ウェブサイトからイオス(EOS)ブロックチェーン上に移動する。
ムーンライティングは、フィンラボAG(FinLab AG)とブロックワン(Block.one)の合弁企業・フィンラボEOSベンチャーキャピタルファンド(FinLab EOS VC fund)が主導した投資ラウンドで500万ドル(約5億6000万円)を調達。資金はユーザーベースの拡大や既存インフラのEOSへの統合に充当する。
「我々は、2017年の終わりから適切なブロックチェーンプロトコルを模索し続けてきた。トランザクションを大規模に処理する能力を持ち、コストを低く維持し、ユーザーアカウントの管理を簡素化できることから、EOSIOを選ぶに至った」とムーンライティングのCEO、ジェフ・テネリー(Jeff Tennery)氏はCoinDeskの取材で答えた。
ブロックワンは2018年、1年にわたる新規コイン公開(ICO)を終え、40億ドルの資金調達を実施。その資金で、EOSブロックチェーンを実現するEOSIOソフトウエアを開発した。また、ブロックワンは、EOSブロックチェーン上で稼働するアプリケーションを支援する投資企業にも投資している。最も有名な投資先としては、マイク・ノボグラッツ(Mike Novogratz)氏のギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)が挙げられる。フィンラボEOSベンチャーキャピタルファンドも似たような目的で設立された。
「ムーンライティングは、分散型アプリケーション(DApp)に望ましい特徴を兼ね備えていると我々は考えている。顧客が実在しており、けん引力もあり、ブロックチェーン技術の利用法としても正当だ」とEOSベンチャーキャピタルの最高執行責任者(COO)、ポール・グロトフスキー(Paul Grotowski)氏は発表文で述べた。
ドイツに拠点を置くフィンラボAGは、2005年から金融テクノロジーに投資してきた。同社の従業員は、「ブロックチェーンの真価を早々に示すことができると信じている」と、同社役員のステファン・シュッツェ(Stefan Schuetze)氏は言う。
ブロックチェーンへの移行
「ウェブ3.0」技術を統合することは、ムーンライティングにとって戦略的な施策だ。
「我々は、ユーザーが自身のプロフィールをどんなプラットフォームにでも移せるようにし、どこで使うせよ、ムーンライティングでのプロフィールを簡単に使える方法を提供できるようにした」とテナリー氏は述べる。「『ギグ・エコノミー(単発請負型経済)』は非常にフラグメント化されています。我々の計画は、フリーランスが自身のプロフィールの使い方をコントロールできるようにし、シングル・サインオンで複数のサービスを利用できるゲートウェイを提供すること」
しかし、同社は全てのデータをプレーンテキストでブロックチェーン上に移すわけではない。データは、同社の中央集権型のデータベースがなければ解読できないハッシュとしてブロックチェーン上で管理される。
「ブロックチェーン上のハッシュによって、オフチェーンで管理されているフリーランスのプロフィールが監査可能となり、その正当性が裏付けられます」と同氏は述べている。
調達した資金をプロフィール検証の強化のために利用するムーンライティングにとっては重要なことだ。同社は、例えば、フリーランスが持つ様々なトレーニング証明書を認証することで、プロフィール検証を強化していく。
テナリー氏はこう話す。
「今回調達した資金は、フリーランス経済における『プロフィールのオラクル』になるという我々のブロックチェーン計画を実行するために役立てたい」
ムーンライティングが仮想通貨に踏み出そうとしたのは今回が初めてではない。2018年半ば、同社はより迅速な決済を実現するためにICOを検討したが、実施することはなかった。「昨年は審査が厳しすぎた」とテナリー氏。「加えて、EOSベンチャーキャピタルも従来の株式に投資することを望んだ」
翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Moonlighting co-founders photo (left to right: Roy Slater, Ritesh Johar, Jeff Tennery) courtesy of the company
原文:A Freelance Job Market Is Moving Its 700,000 Users to EOS