G20(20カ国・地域)財務大臣・中央銀行総裁会議は10月13日、IMF(国際通貨基金)と世界銀行、国際決済銀行(BIS)と協力して、銀行システムにおける中央銀行デジタル通貨(CBDC)のルールを策定すると発表した。
まとめた報告書によるとG20、IMF、世界銀行、BISは2022年末までに、米ドルなどに連動するステーブルコインの規制枠組みと、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の設計やテクノロジー、実験の調査・選定を完了。IMFと世界銀行は2025年末までに各国間のCBDC取引を促進するための技術能力を持つとしている。
各国は「通貨と金融の安定に対するリスクをコントロールするための最低限の監督・規制基準を妥協することなく、クロスボーダー決済が直面する課題に対処するために、新たな多国間プラットフォームと世界的なステーブルコイン規制、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の適用範囲を検討する」と2008年の金融危機後に結成されたG20金融安定理事会(FSB)は述べた。
多国籍同盟
先週、7つの中央銀行──FRB(米連邦準備制度理事会)、カナダ銀行、ECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行、スイス国立銀行、スウェーデン国立銀行(リクスバンク)、日本銀行──はBIS(国際決済銀行)を通じて、各国の中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)に求める特性の概要を示したレポートを発表した。
レポートは、CBDCは既存の貨幣との互換性が必要であり、コストをほとんどかけずに多くの決済形態で使いやすい点で現金に似ていると述べた。
またレポートによると、CBDCシステムは既存の金融テクノロジーと互換性があり、大量の取引を24時間体制で瞬時に決済し、サイバー攻撃やシステムダウンの影響を受けにくく、すでに流通している貨幣に適用され、中央銀行の権限を保持している規制や監視に準拠しなければならないという。
さらにCBDCはクロスボーダー決済を改善し、フェイスブックが主導するリブラ(Libra)のような企業のデジタル通貨に対抗し、新型コロナウイルス感染拡大の間も給付金を消費者に配布することができる。だが、CBDCは匿名、自律的なものではなく、分散型台帳技術、いわゆるブロックチェーンをベースにした暗号資産(仮想通貨)とは異なるとしている。
ビットコインによる取引はブロックチェーンネットワーク上で実行され、中央機関は存在せず、個人情報は保護されるが、CBDCでは中央銀行は決済や個人情報へのアクセスを維持する。
ECB(欧州中央銀行)と日本銀行は10月、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を検討しているとも述べた。
ECBのレポートによると、デジタルユーロ発行の決定は2021年4月に発表されるという。日本銀行は、デジタル円の実験が春にスタートすると述べ、現時点で最も広範囲にテスト運用が行われている中国のデジタル人民元に対抗するための協調的な取り組みを呼びかけている。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:IMF, World Bank, G20 Countries to Create Central Bank Digital Currency Rules