LINEがタイで銀行サービスを開始した。デジタル化を積極的に進める同国の大手カシコン銀行と連携して、アプリの「LINE」で振り込みやローンの申し込みができるサービスを拡大していく。
20日の発表によると、銀行サービスの名称は「LINE BK」で、運営を行うのはLINEとカシコン銀行がそれぞれの子会社を通じて設立した合弁会社のKASIKORN LINE。振り込みや預金口座の開設、決済、ローンやデビットカードの申し込みまでをLINE上で行えるようにした。
LINEは金融事業を拡大させることで、「LINE」アプリをいわゆる“スーパーアプリ”に進化させ、国内では8400万人のユーザー基盤の上で事業規模をさらに広げていく。LINEは今後、日本、台湾、インドネシアを含む他の国・地域でも銀行事業を開始する計画だ。
LINEとカシコンの金融包摂
「LINE BK」はタイのLINEウォレットタブから利用することができる。これまで銀行サービスを受けることが難しいとされてきた個人事業主や、固定収入のないユーザーでも利用できる個人向けローンも準備した。
預金口座はカシコン銀行が運営するが、電子明細の自動送付や割り勘機能などが付随し、同行のATMでカードレスに現金を引き出すことができる。
カシコン銀行は先端テクノロジーを積極的に活用するタイの大手銀行で、今月には同行のグループ企業がバンコク市内でイベントを開き、開発中の新たな取り組みを発表している。
NHKの報道によると、同グループ会社が実証実験を進めているものの中には、客がレストランなどのタブレットで指をさすだけでメニューの注文ができる非接触型デバイスなども含まれている。
文:佐藤茂
写真:多田圭佑