ビットコインは“リスク”資産、決済手段となれば価格上昇の余地:JPモルガン

JPモルガンのアナリストは同社の代表的な発行物『Flows & Liquidity』の中で、ビットコインとS&P500株価指数のプラスの相関関係が3月以降強くなっていることに基づいて、ビットコインは「安全」資産ではなく「リスク」資産と分類する方が「より適切」であると述べた。

リスク資産としてのビットコインの機能は「『安全』資産や『リスクヘッジ』へのニーズよりも、『代替』通貨へのニーズを反映している可能性が高い」と文書には書かれている。

「これはある程度、ゴールドにも当てはまる」とアナリストは付け加えているが、ゴールドのボラティリティはビットコインのそれよりも明らかに小さい。

ビットコインとゴールド(金)との競争

投資家が今、ビットコインの価値をどのように捉えているかは、今後数年、ビットコインが「代替」通貨としてゴールドと「より激しく競争」する可能性を示しているとアナリストは述べた。

文書によると、ゴールドの競合としてのビットコインの役割は、ミレニアル世代の投資家の暗号資産への関心と、投資の世界で若い投資家層が「時間とともに重要な要素」となっている必然性によって強化されているという。

ビットコインの時価総額が民間部門のゴールドへの投資に匹敵するには10倍に増加する必要があるとアナリストは述べ、「長期的に代替通貨としてゴールドを多少でも締め出すことができれば、ビットコイン価格は2倍、3倍になるだろう」と付け加えた。

「つまり、ビットコインの長期的な上昇の可能性はかなり高い」

決済手段としての普及

ミレニアル世代の投資家の関心以外にも、文書はビットコインに投資手段としての信頼性をもたらす企業および従来の投資家の重要性を強調している。文書によると、特に先日のペイパルによるビットコインなどの暗号資産への対応の発表は「企業によるビットコイン受け入れのさらなる大きな一歩」となる。

またアナリストは、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)の先物およびオプション市場の動向が示す、機関投資家のビットコインへの関心の「力強い高まり」も認識している。

10月22日時点、CMSのビットコイン先物市場は、建玉(未決済の契約総数)で見ると、2番目に大きな市場へと成長し、ビットメックス(BitMEX)とバイナンス(Binance)という暗号資産に特化した2つの人気取引所を追い越した。

しかし、価値の保存手段としての有用性は、上昇傾向の可能性の唯一の要因ではない。アナリストによると、ビットコインとアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)の価格は、決済手段として普及すれば、大きく上昇する可能性がある。

「より多くの経済主体が将来、暗号資産を決済手段として受け入れるようになれば、暗号資産の有用性と価値はより高くなる」と文書には書かれている。

最終的に、ビットコインは「現在、短期的には過剰に買われているように思える」が、ビットコインの長期的な上昇の可能性は「かなりある」とアナリストは繰り返した。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:Bitcoin’s Rivalry With Gold Plus Millennial Interest Gives It ‘Considerable’ Upside Potential: JPMorgan