ビットコインは買われ過ぎか?  米大統領選前に動く価格分析指標

従来から使われてきたファンダメンタル分析指標によると、今年急騰したビットコイン価格にはさらなる上昇余地があることを示している。テクニカルチャートにおける兆候とは矛盾している。

データサイトのグラスノード(Glassnode)によると、ビットコインの「MVRV Zスコア」は2.12で、2年ぶりの高水準に達した。この値は、ピークに近い数値である7.0を大きく下回っている。

MVRV Zスコアとは、「Market Value to Realized Value」の略で実現可能価額に対する市場価値という意味。実現時価総額からの市場時価総額の差を測る指標で、過小評価あるいは過大評価の状態を分析するために使われる。

指標が示す現在の値は、ビットコインの上昇が始まったばかりと言う著名ヘッジファンドマネージャーのポール・チューダー・ジョーンズ(Paul Tudor Jones)氏の発言を裏付けているのかもしれない。

MVRV Zスコア
出典:Glassnode

MVRV Zスコアは、0以下は弱気市場を示し、7以上は大規模な強気市場を表す。今年3月にビットコインが大幅に下落した後、Zスコアは0を下回った。

矛盾するサイン

価格モメンタム(価格の勢い)を測る人気指標、ビットコインの14週相対力指数(RSI:Relative Strength Index)はチャート上で70.00を超えた。

テクニカル分析(TA)理論によると、70以上は資産が買われ過ぎであることを示すサインだ。14日、RSIも似たようなサインを出している。しかし、テクニカル分析は価格の動きに基づいた遅行指標(実際の動きから遅れて変化する指標)である。

「人気を集めている市場では、RSIのような指標は長期間にわたって『買われ過ぎ』あるいは『売られ過ぎ』の状態となる可能性がある」とトレーダーでアナリストのニック・コート(Nick Cote)氏は話す。

現在のビットコインの上昇傾向は力強く見える。機関投資家の参入と、ビットコインが広く普及するだろうという期待に支えられている。

米オンライン決済大手のペイパル(PayPal)が今月に暗号資産(仮想通貨)サービスの計画を発表した直後、ビットコイン価格は急騰した。

ビットコインの週次チャートと日次チャート
出典:TradingView

買われ過ぎのサインは、弱気への反転を暗示するものではないが、5月や8月に見られたような小幅な引き戻し、あるいは保ち合いとなるかもしれない。

「ビットコインが次の強気市場で上昇する要因は、機関投資家の大規模参入になるだろう。オンチェーン指標の観察はさらに重要になってくる」とコート氏は述べた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Glassnode
原文:Is Bitcoin’s Rally Overstretched? This Key Indicator Says No