欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)総裁は11月1日、デジタルユーロの発行に関するパブリックコメントを募集する計画を明らかにした。ECBが、個人や家計、企業が利用する「リテール型中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の発行を検討している可能性が高い。
「ヨーロッパの人々が支出、貯蓄、投資においてますますデジタルに移行しているなか、我々はデジタルユーロを必要とするなら、その発行準備をすべきだ。この件についてみなさまの意見をぜひ聞きたい」とラガルド総裁はツイートした。
リテール型CBDCは、単に銀行間での使用を目的としたものではなく、金融の仕組みを大きく変えるものになるだろうと米CoinDeskのリサーチディレクター、ノエル・アチェソン(Noelle Acheson)氏はコメントしている。
ECBはデジタルユーロ発行の可能性についてまだ検討中としながらも、ラガルド総裁はツイートした動画の中で次のように述べた。
「我々はパブリックコメントをちょうど開始したところだ。消費者やヨーロッパの多くの人たちが実際にその好みを表明し、デジタルユーロが利用可能で信頼できる中央銀行通貨であることを理解し、ユーロ硬貨やユーロ紙幣と同じように利用するかどうかを伝えることができる」
アチェソン氏によると、ラガルド総裁のコメントは、BIS(国際決済銀行)イノベーションハブの責任者で、同行執行委員会のメンバーでもあるブノワ・クーレ(Benoit Couere)氏が最近CoinDeskに寄稿した記事で述べた内容と同様のものだという。
このように同じ意見が同時発生的に聞かれるということは、リテール型CBDCの可能性についての議論がきわめて高いレベルで行われていることを示しているとアチェソンは述べた。
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁(Shutterstock)
原文:Lagarde Seeks Public Comments About a Digital Euro, Implying a Broad Retail Offering Is Now on the Table