ビットコインのマイニング難易度は16%以上下落し、2012年後半にASIC(マイニングに特化した専用コンピューター)が登場して以来、最大の下落率となった。収益性が大きく改善するため、マイナーにとっては喜ばしい事態だ。
BTC.comのデータによると、マイニング難易度は11月3日9時頃、16.7870Tまで低下し、6月以来の最低水準となった。この下落率は過去2番目に大きなものだ。
マイニング難易度は新しいビットコイン(BTC)をマイニングするために必要なリソースを測るための相対的な指標。ビットコイン・ネットワークが消費したハッシュパワー(マイニングに使われる演算能力)の増減に応じて、約2週間ごと(あるいは2016ブロックごと)に調整される。
中国・四川省の雨季が終了
3日の大幅な調整は、中国・四川省の多くのマイニング企業が雨季の終わりとともにマイニング機器の稼働を停止し、より安価な電力を求めて機器を移動させていることに伴って発生した。
次の調整までの2週間、機器が引き続き稼働中のマイナーは、マイニングソフトウエア企業HASHR8のトーマス・ヘラー(Thomas Heller)COOが「本当に比類ない」と形容した、きわめて困難な1年を戦い抜いた末、待望の小休止を楽しむことになる。
ビットコイン価格がここ数カ月で大幅に上昇し、新しいビットコインをマイニングするために必要なパワー、いわゆるハッシュレートが減少したため、「効率性の高いマイナーの利幅は大幅に広がる」とHASHR8でリサーチ担当ディレクター、ジョン・リー・キグリー(John Lee Quigley)氏は11月2日に公開した文書で述べた。
さらに「無数の非効率のマイナーも再びマイニングで利益をあげることができるようになる」と同氏は付け加えた。つまり、次の難易度調整までの期間はビットコインマイナーにとって「非常に儲かる」時期になるだろうと、キグリー氏は言う。
珍しい下方修正
下落率のほか、そもそも下方調整されるのは珍しいことだ。過去の調整で下方調整となったのは約17%のみで、さらに2桁の下落はわずか約2%しかない。
「現在起きていることは、確かに例外的。価格の上昇はほぼ必ず、難易度の上昇につながる」とキグリー氏は述べる。
アジアを拠点とするマイニング企業が稼働させているマイニング機器は、今後数週間で再び稼働すると予想され、さらに収益性改善の機会を利用するために他のマイナーもより多くの機器を稼働させるかもしれない。つまり、この先の調整では難易度は上昇する可能性がある。
ハッシュレート低下中のマイナーの利幅の改善は一時的なものと2010年にスタートしたビットコイン初のマイニングプール、スラッシュ・プール(Slush Pool)のエンジニアでテクニカルライターのダニエル・フラムキン(Daniel Frumkin)氏は述べた。
「とはいえ、2〜4週間の利幅の拡大に不満を述べる人はいないだろう」とフラムキン氏は語った。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:BTC.com、CoinDesk Research
原文:Bitcoin’s Mining Difficulty Sees Largest Percentage Drop in 9 Years