英金融大手HSBCは、バングラデシュ初となるブロックチェーンを使った信用状(LC)取引による貿易取引を完了させた。
信用状:貿易取引の決済で銀行が買い手(輸入者)の支払いを確約する書類のこと。英語ではLetter of Creditで「L/C」と略される
同行が11月3日に発表したプレスリリースによると、ブロックチェーンを使った信用状(LC)取引は処理時間を大幅に削減。従来の方法では平均5〜10日かかる処理時間を24時間未満に短縮できる。
今回の取り組みは、バングラデシュの企業が貿易のデジタル化を進める上で大きな一歩となると同行は述べた。
取引は、United Mymensingh Power社が発電所向け燃料の重油2万トンをシンガポールから輸入したもので、貿易金融ネットワーク「コンツアー(Contour)」で行われた。コンツアーは米ブロックチェーン企業R3のコルダ・エンタープライズ(Corda Enterprise)ブロックチェーンテクノロジーを使って構築されている。
国際貿易の新時代
貿易を円滑に行うための信用状(LC)は、2者間の取引を監視する銀行からの財務保証だ。どちらかが合意を守ることができない場合、銀行が介入してコストを補填し、取引を完了させる。
「企業や政府がブロックチェーンテクノロジーを使ってタスクを実行することの透明性、安全性、迅速性を認識するなか、今回の取り組みは国際貿易取引の新時代を切り拓くものになると考えている」とHSBCバングラデシュのCEO、Md Mahbub ur Rahman氏は語った。
コンツアーが初めて完了させたLC取引は、まだボルトロン(Voltron)という名称だった2019年8月、アジアの2つの大手石油化学会社間で行われた。今年5月には、スタンダードチャータード銀行がオーストラリアの鉱業大手リオティント(Rio Tinto)と中国鉄鋼大手の宝鋼集団(Baosteel)の間で初の人民元ベースのブロックチェーンを使ったLC取引を行ったと発表した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス(S&P Global Market Intelligence)の2020年のレポートによると、HSBCは世界第6位の銀行で、運用資産は2兆7000億ドル(約280兆円)を超えている。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstock
原文:HSBC Carries Out Bangladesh’s First Blockchain Letter-of-Credit Transaction