ファイナンシャル・アドバイザーが知るべきビットコインについての4つのこと

伝統的な「60/40ポートフォリオ」(株式60%、債券40%の分散投資)は、前例のない今の市場環境の中でも有効と言えるだろうか。中央銀行のバランスシートは急拡大し、金利は記録的な低水準にある。多くの投資家が信頼できるヘッジ手段を持たずに、資産運用に手を出していることを意味しているのではないだろうか。

ビットコインは現代の安全資産か?

ファイナンシャル・アドバイザーは、分散投資、特にビットコインについて顧客と対話することを検討すべきだろう。ビットコインは伝統的な資産クラスと相関しない高いリターンを提供する。この分散効果は、ビットコインが損失に対する重要なリスクヘッジになり得ることを意味している。

昨年10月、VIX指数(恐怖指数:ボラティリティの予測指標)は50%上昇、ビットコインは好調で25%近く上昇していた。ビットコインは現代の安全資産となるだろうか?

「10月、ビットコインは25%上昇し、VIX指数は50%上昇した。機関投資家がこれに注目していないと思うなら、あなたはどうかしている」

企業もリスクヘッジのためにビットコインを利用し始めている。9月、マイクロストラテジー(MicroStrategy)は1億7500万ドル(約180億円)相当のビットコインを購入すると発表した。ナスダックに上場している同社は、株式、債券、ビットコインなどの資産を組み合わせて、今後12カ月で最大2億5000万ドル(約260億円)を投資する計画だ。

投資家はマイクロストラテジーを見習うことができる。ビットコインへの投資は少額でも、現金の購買力を損なうインフレの影響を相殺し得る。

顧客が多くの現金をビットコインに投入する可能性は高く、かつアドバイザーに助けを求めるだろう。ビットワイズ・アセット・マネジメント(Bitwise Asset Management)が調査したファイナンシャル・アドバイザーの76%は昨年、顧客から暗号資産についての質問を受けている。ビットコインを資産クラスとして取り扱う時が来た。

顧客にとってのビットコインの優位性を示す、4つのグラフを見ていこう。

1. ビットコインはマイナス利回り債券の増加とともに上昇

出典:Schuldensuehner

マイナス利回り債権は、満期になると保有する投資家が損失を被ることを意味する。リスクの高まりを受けて、多くの投資家が債券に投資しており、一部の国では利回りがマイナスになっている。しかし、こうした不確実性にもかかわらず、ビットコインは輝きを保つ。

2. ビットコインは伝統的な資産クラスとの相関関係が弱い

ビットコインとS&P500の相関関係
出典:CoinDesk Research, St. Louis Fed, Yahoo Finance

わかりやすくにいえば、ビットコインは株価が下落した時に有効なリスクヘッジとなり得る。コモディティリスクや為替リスクに対するリスクヘッジにもなり得る。

3. ビットコインは保有リスクに対するリターンが大きい

出典:INVAO Group

シャープ・レシオはリスク調整後のリターンを測るための指標で、投資効率を示すものだ。ボラティリティ(価格変動)が大きいにもかかわらず、ビットコインはここ数年、伝統的な資産クラスを上回るパフォーマンスをあげている。

4. ビットコインは発展途上国で人気が高まっている

出典 : Statista Global Consumer Survey

世界中の消費者がビットコインを決済や送金に利用している。これはビットコインを国際的な価値の保存手段および価値の交換手段として保有している長期投資家にとって素晴らしいことだ。

ダマニク・ダンテス(Damanick Dantes)氏:コモディティ、株式、暗号資産を専門とするマクロトレーダー。以前はフィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)のグローバル・アセットアロケーション・リサーチチームで仕事をしていた。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:INVAO Group
原文:4 Charts Showing Why Financial Advisers Should Care About Bitcoin