第3四半期に暗号資産(仮想通貨)市場が好調に推移したことで、トレーダーや投資家にとって注目すべきデジタル資産は変わっている。そして変化は「CoinDesk 20」にも表れている。
今回の改訂では、2020年第2四半期と第3四半期のデータに基づいて、5つの暗号資産を入れ替えた。新たに「CoinDesk 20」に加わった5つの暗号資産の取引高は、市場全体が2桁の成長を見せたなか、さらにそれを上回って急増した。
第2四半期と第3四半期の取引高合計でランキング
「CoinDesk 20」は、市場にとって最も重要な暗号資産をピックアップしている。他のランキングは時価総額を使っているが、「CoinDesk 20」は、8つの信頼できる暗号資産取引所のデータを使い、第2四半期と第3四半期の取引高合計でランキングしている。
これにより、一貫性があり信頼できる取引高を持つ20の暗号資産が選ばれており、20の暗号資産は信頼できる取引所の総取引高の約99%、暗号資産全体の時価総額の約90%を占める。
新しく加わった暗号資産は、アルゴランド(algorand:ALGO)、コスモス(cosmos:ATOM)、カルダノ(cardano:ADA)、カイバーネットワーク(kyber network)、そしてオーエムジーネットワーク(omg network:OMG)。「CoinDesk 20」の取引高は第2四半期から第3四半期にかけて22%増加した。しかし、これら5つの暗号資産は、それを大きく上回った。
5つの新しい暗号資産は、よく知られている既存の暗号資産に取って代わった。今回の改訂で「CoinDesk 20」から脱落したのは、2018年にビットコイン (BTC)からフォークしたビットコインSV(Bitcoin SV : BSV)、メーカーダオ(MakerDAO)が発行するステーブルコイン(stablecoin)のダイ(DAI)。そして、3つのプライバシーを重視した暗号資産、ジーキャッシュ(zcash:ZEC)、モネロ(monero:XMR)、ダッシュ(dash:DASH)だ。
特にビットコインSVは、第2四半期から第3四半期にかけて、唯一、信頼できる8つの取引所での取引高が減少している。
新しい5つの暗号資産の取引高(前四半期比)
新しい資産のうち、アルゴランド(ALGO)、コスモス(ATOM)、カルダノ(ADA)の3つは「Web 3.0」のインフラを構築することができ、イーサリアム(ETH)の潜在的な競合となり得る。
カイバー(Kyber)は、我々が信頼する8つの取引所のうちの3つに新たに上場し、著しい成長を見せた。なかでもコインベース(Coinbase)での取引高は驚くべきものだ。
カイバーの取引高
「CoinDesk 20」から脱落した暗号資産の取引高推移(前四半期比)
CoinDesk 20から脱落した3つのプライバシーコイン、ジーキャッシュ(zcash:ZEC)、モネロ(monero:XMR)、ダッシュ(dash:DASH)は、いずれも第3四半期に取引高は増加したが、新たに加わった5つには及ばなかった。だからと言って、これらのプライバシーコインやステーブルコインのダイ(DAI)がもはや重要でも興味深いものでもないということにはならない。少なくとも現時点では、暗号資産市場の関心の一部が変わったことを意味しているだけだ。
我々は「CoinDesk 20」を7月にスタートさせた。9月の改訂では、イーサリアムベースのアプリケーション・トークンであるオーキッド(orchid:OXT)がベーシック・アテンション・トークン(BAT)に代わって新たに加わったのみで、入れ替わりは少なかった。
オーキッドは分散型のバーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)サービスを提供しており、引き続きリストに入っている。第2四半期から第3四半期にかけて取引高は562%増となった。
なお「CoinDesk 20」の選定方法は定期的に見直しを行う。
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Nomics
原文:Volume Surge Brings 25% Turnover to ‘CoinDesk 20’