欧州中央銀行(ECB)は今後2~4年でデジタルユーロの発行に踏み切る可能性がある。クリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)総裁が見解を示した。
ラガルト総裁は12日、FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長、イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁とのオンラインカンファレンスで「その方向に進む方が良いかもしれない。私の勘ではその方向に向かうだろう」と発言した。
ECBは以前、中央銀行デジタル通貨(CDBC)の研究を行っていることを明らかにしており、フィンランド銀行のオッリ・レーン(Olli Rehn)総裁は10月、デジタルユーロは今後10年のうちに登場する可能性が高いとロイターに語った。
デジタルユーロは現金を補完
ラガルド総裁は、デジタルユーロの開発には、基盤技術に加えてマネーロンダリング対策やテロ資金対策が必要になり、ある程度の時間がかかるとコメントした。また総裁は中国人民銀行が数年前からデジタル人民元に取り組んでいることも指摘した。
「CDBCがクロスボーダー決済を促進するなら、我々は調査すべきだ。しかし紙幣がなくなるとは考えていない。デジタルユーロは現金の代わりにはならず、現金を補完するものになるだろう」(ラガルド総裁)
一方、FRBのパウエル議長は、FRBはデジタルドルのメリットを評価しているが、デジタル通貨の発行についてはまだ決定していないと繰り返した。FRBはデジタルドルのメリットと潜在的な技術ソリューションを検討しているが、数年以内に発行される可能性は小さい。
イングランド銀行のベイリー総裁は、民間が発行するステーブルコインにはプライバシー上の懸念が存在する可能性があるとした上で、中央銀行デジタル通貨は「その問題に対する答え」になるかもしれないと述べた。ベイリー総裁は以前、ステーブルコインを規制するグローバルな枠組みの必要性を指摘した。
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:ECBのラガルト総裁(European Central Bank)
原文:ECB’s Lagarde Has ‘Hunch’ Digital Euro Will Launch in 2-4 Years