ビットコインは安全資産ではなく、リスク資産だ。各国の中央銀行が今年、前例のない量の流動性を市場に提供したことで、ビットコインは株式と同様に値を大きく上げた。
一方、債券や現金といった伝統的な安全資産は、低いながらも安定したリターンを生み出してきた。これはビットコインの性質とは違うだろう。
投資家は一般的にリスクを最小限に抑えるために、資産を分散させる。リスクの高い資産クラスには、成長株や循環株、コモディティが存在し、防衛的な投資には、ソブリン債(国債、政府機関債など)や高配当株、そして現金がある。
ビットコインはどんな資産か
ビットコインはどこに当てはまるのか?
ビットコインやゴールドのようなオルタナティブ資産(代替資産)は、投資家に「非伝統的な」(相関関係のない)リターンを提供する。典型的なオルタナティブ・ポートフォリオは、資産をおよそ10年保有する。プライベート・エクイティ(未公開株)、不動産、ベンチャー・キャピタルへの非流動的な投資などだ。
ビットコインは取引が可能で、流動性が比較的に高い。これは、ヘッジファンドが一般的に使用するロング/ショート戦略に適している。
デジタル資産に投資する機関投資家が増えているが、典型的な資産運用会社ではない。オルタナティブ投資を行う大規模ファンドが、ビットコインをポートフォリオにおける魅力的なリスク資産と捉え始めている。
機関投資家を対象としたプレキン(Preqin)の調査によると、オルタナティブ資産の市場規模は2023年までに14兆ドルになると推定されている。
世界的な資産運用会社のグッゲンハイム(Guggenheim)は先日、同社のマクロ・オポチュニティーズ・ファンド(Macro Opportunities Fund)が純資産の最大10%(最大約4億9700万ドル)をグレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)に配分する可能性があると発表した。
ビットコインがオルタナティブ・リスク資産であることを示す定量的な説明はできないだろうか。4つのチャートを見てみよう。
1. ビットコインはFRBのバランスシートと連動して上昇
2年間の調整期間を経て、FRB(連邦準備制度理事会)は2020年、資産購入プログラムを全面的に再開した。その結果、「FRBプット」(FRBは常に経済と金融市場を救うという信念)が、オルタナティブ・リスク資産としてのビットコインの魅力を高めている。
2. 投資家が保有するビットコインが増加
ビットコインを長期保有しているウォレットは、利益確定を行う可能性が低い。この保有傾向は、ビットコイン市場の成熟に伴い、投資家がトレーダーよりも大きな位置を占めるようになっていることを意味している。
3. 大口保有者がほとんどを保有している
伝統的な資産とは異なり、ビットコインの保有が集中していることは、大口保有者が価格に大きな影響を与える得ることを意味する。これが、オルタナティブ・ポートフォリオ戦略が重要な理由だ。
4. ビットコインの長期的上昇トレンド
システマティックなポートフォリオは、価格トレンドに基づいてポジションを調整することでボラティリティを管理する。1つの方法は、ビットコインの実現価値に対する市場価値を計算することだ。この比率、いわゆる「MVRV」は、ビットコインが現在「公正な価値」を超えて取引されていることを示している。
この指標は、3036億ドルの運用資産を持つマネージド・フューチャーズ業界(世界中のあらゆる金融先物に投資するヘッジファンドの一種)で一般的に使われている。同業界の資産の多くは、デジタル資産に流入する可能性がある。
ダマニク・ダンテス(Damanick Dantes)氏:コモディティ、株式、暗号資産を専門とするマクロトレーダー。以前はフィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)のグローバル・アセットアロケーション・リサーチチームで仕事をしていた。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:CoinDesk Bitcoin Price Index, Chainalysis
原文:4 Charts Showing Why Bitcoin Is an Alternative Risk Asset